Bunkamura Gallery(東京都渋谷区)は、3月5日~16日まで「写真と絵画のシンクロニシティ」を開催する。
3人の作家の異なるリアリズム表現
同展は、卓越したリアリズム表現の絵画を発表している3名のアーティストによる絵画展。それぞれ異なるコンセプトで活躍しているが、写真的リアリティーを保ちながらも、絵画でしかありない密度と質感を持ち合わせた作品を生み出している点が共通点と言える。
小池真奈美氏は、自身が花魁(おいらん)や古典落語の登場人物などに扮(ふん)し、その役になりきった姿から言葉やイメージを拡げる手法をとっている。江戸情緒が残る明治の風情と「粋」という言葉がふさわしい画面構成を作ると同時に、作者自身の変身願望を満たしているという。筆ではなくスポンジで描写する点も特徴だ。
永瀬武志氏は、透明感のある繊細な表現で、女性や花を描いた作品を多く発表している。対象物となるのは、自身と関係が深い人物や美しいもの。写真を撮影し、作品化していく過程では、自分やモデルの視点も入り、情緒的かつ個人史的な想いも画面に入り込んでいる。
平久弥氏は、日常の中の「ありきたりな風景」を絵画として提示し続けている。作品は、モチーフとする場所を撮影した写真をもとに、非常に緻密な技で画像をなぞり、抑制的な画面へと仕上げるフォト・リアリズムの手法で制作する。写実を極めた描写は、写真と絵画、どちらにもカテゴライズしがたい独自の世界観を構築している。
会場はBunkamura1Fメインロビーフロア。時間は10時~19時30分。会期中は無休。入場は無料。