本レビューの前編では、手軽にテレビのサウンドを強化することができる最新フロントサラウンドシステム「YAS-103」の特徴を紹介した。後編となる今回は「YAS-103」を実際に利用するにあたってのセットアップ手順や使用方法、さらにサウンドクオリティやアプリの使い勝手などもチェックし、具体的に解説していこう。
わが家に「YAS-103」がやってきた!
まずは、テレビの前に設置する前に、YAS-103本体を外観からチェックしてみた。89cmサイズの横幅となったボディは、とてもスリムで扱いやすい。また、美しく仕上げられたグロスブラックのカラーリングは、価格を超えた高級感がありとても好印象だ。そのコンパクトなボディ内部には、左右に大口径のフロントステレオスピーカー(30W×2基)を搭載。さらに、ボディ底面側にサブウーファー(60Wx1基)、また側面にはバスレフポートも設けられており、ワンボディに音楽再生を行う強力なコンポーネントが凝縮されている。さらに、本体の前面中央には各種動作を一目で確認できるLEDが、右側には入力切り換え、音量、電源の操作を行えるボタンがシンプルに配置されていた。
あとはテレビの前に置いて接続するだけ!
続いて、いよいよ「YAS-103」をテレビ前に設置してみる。……とはいっても、付属の光ケーブル1本をテレビと接続するだけで、あっという間に完了。面倒な作業は一切必要がなかった。今回は、筆者自作のローボードに、32型の薄型テレビとYAS-103を同時に配置してみたが、スッキリとした印象で、1人暮らしのワンルームマンションなどでも邪魔にならないサイズであると感じられた。やはり、全幅が1mを切るとサイズ感の印象が大きく違うようだ。
ちなみに、テレビの前面にスピーカーを置くと、テレビのリモコン受光部が隠れてしまいリモコン操作ができなくなってしまうことがある。だが、YAS-103では赤外線を利用したリモコン信号を中継してくれる「テレビリモコンリピーター」機能を装備しているので心配無用だ。地味ではあるが、実際の使い勝手を考慮した、とても気の利いた機能といえるだろう。
「YAS-103」の本体背面にある接続端子とIRフラッシャー。光デジタル2系統/同軸デジタル1系統/アナログ1系統の3種の入力が用意され、テレビだけでなく、ブルーレイディスクやDVD、ゲーム機などもダイレクトに接続できる |
自宅に届けられた「YAS-103」を開梱し、32型のテレビ前にセット。軽量かつ小型のボディは、わずかな時間で簡単に設置を行うことができた。本体の横幅サイズが1mを切っており(足部分の幅はさらに小さい!)、限られたスペースでも設置性が高い |
セットアップを完了し、さっそくテレビ本体スピーカーとの比較を行ってみると、まさに一目瞭然の差に驚かされることになった。これまでテレビから聴いていたサウンドはなんだったのかと思うほど、YAS-103のサウンドは圧倒的に迫力があり、どんな番組やシーンでもその優位性が揺らぐことはなかった。テレビからのサウンドに切り替えると、とても寂しい気持ちになったので、以降レビュー終了までは終始YAS-103からのサウンドを堪能することを即決した!
続いて、「YAS-103」を便利に活用するための、Bluetooth機能と無料の専用コントロールアプリ「HOME THEATER CONTROLLER」(iOS/Android対応)についても検証してみる。YAS-103では、Bluetoothでの接続がサポートされ、ペアリング済み端末でBluetooth接続をすると本体の電源も立ち上がる「Bluetoothスタンバイモード」にも対応しているのが大変便利! さらに、個人的に筆者がうれしかったのが、手元の端末内に保存された楽曲を、Bluetooth経由でYAS-103からワイヤレス再生できる機能。同機能を利用すれば、テレビを見てないときでも団欒や家事の時間のBGMを再生する高音質なスピーカーとして、YAS-103が活躍してくれるのだ。
また、「HOME THEATER CONTROLLER」では、スマートフォンやタブレットから、入力切り替えや、7.1chバーチャルサラウンドを実現するヤマハ独自技術のAIR SURROUND XTREMEによるサラウンドプログラム(映画・音楽・スポーツ・ゲーム・テレビ番組)の選択などが、アイコンボタンでより直感的に行えるようになっている。
一度体験したら元には戻れないほどの快適サウンド
今回のレビューを通じ、フロントサラウンドシステム「YAS-103」を実際に体感してみて一番大きく感じたのは、従来のテレビ内蔵スピーカーによるサウンドの物足りなさだった。同製品のサウンドを体験してしまうと元の環境に戻れなくなってしまい、機材をヤマハに返却するのが正直惜しくなるほどであった。「YAS-103」は本体サイズも非常に小型で軽量、さらに実売価格も26,000円前後とリーズナブルであり、家庭にも比較的導入しやすい製品となっているので、個人的にも今後の導入を本気で検討したいと思っている。
リビングのサウンド再生環境を手軽にアップグレードしたいと検討している読者諸氏は、テレビ用スピーカーとしての高い設置性と利便性、そしてハイクオリティなサウンドを合わせ持つYAS-103で、ぜひその第一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。