バナナは、フィリピンや台湾などの熱帯・亜熱帯地域が主な産地あり、日本の産地は沖縄や奄美大島などの温暖な地域というイメージがある。しかし、岐阜県の奥飛騨でバナナを生産している農園があり、ユニークな販売方法を行っているとの情報が届いたので話を聞いてみた。

バナナが実った木をそのまま販売?!

「奥飛騨ファーム」の温泉ハウス

ユニークなバナナの生産・販売を行っているのは、奥飛騨温泉郷の民宿栃尾荘が農業参入のために設立した「奥飛騨ファーム」。温泉を利用してバナナの栽培を行い、木にバナナが実った状態のまま「実付きバナナの木」として販売(1万5,900円送料込み・北海道・沖縄は別途1,500円)しているのだ。同ファームの代表である滋野亮太氏によると、たまたま温泉風呂で栽培したバナナがうまく育ったため、排出される温泉の有効利用も兼ねて本格的なバナナ栽培に着手。しかし、ありきたりな生産・販売ではなく、どこにも売られていない、誰も見たことがないバナナを作りたいという思いから、「実付きバナナの木」の販売というアイデアに到達したとのこと。

一般家庭で栽培でき、さらに株分けして増やすことも!

発送時の「実付きバナナの木」

届いてからしばらくすると、花弁が開き実が出てくる

「実付きバナナの木」を購入してから食べ頃になるまでは、秋・冬が3~4カ月、春・夏が2~3カ月。さらに、バナナを収穫した後は子株が平均5~10本程度芽吹き、その子株を株分けすれば2年ほどで新たなバナナが収穫できるというまさに増えるバナナなのだ。

しかし、温泉地ならともかく、一般家庭でそんなに上手くバナナが育つのだろうか。滋野さんによると、室内で栽培すれば窓際管理するなどの工夫で問題なく冬を越せるという(5度以下にならないのが理想)。注意点は、冬場だと葉の裏にアブラムシが付きやすい(拭き取るだけでOK)、冬場にたくさん水を与えすぎると根が腐るといった程度で、観葉植物と変わらないそうだ。

食べ頃に実ったバナナ。この後、収穫して紐で吊るし、シュガースポットが現れたら食べ頃となる

収穫後に芽を出す子株をカッターナイフで株分け

こうした室内栽培が可能なのも、本来は大型植物のバナナの中では珍しい背丈1メートル以下の特殊な品種を輸入したためで、さらに販売までには3年の試行錯誤があったという。その実はモンキーバナナほどのサイズで、甘味があってもちもちした食感が特徴だ。観葉植物感覚で育てられるという「実付きバナナの木」は、Webサイトからのネット注文もしくは電話注文で購入できるので、興味がある人はチェックしてみよう。