米フォーク界の巨匠であり、シンガーソングライターのピート・シーガーが27日、ニューヨークの病院で死去した。94歳だった。孫のキタマ・カヒル・ジャクソンが、BBCニュースにて発表している。
ボブ・ディランやブルース・スプリングスティーンなど数多くのアーティストに影響を与えたピートは、1940年代後半にウィーバーズのメンバーとして「天使のハンマー」「ターン・ターン・ターン」「花はどこへ行った」など政治色の強いヒット曲で知られている。
昨年に70年間連れ添った妻のトシを亡くしたピートは、50年代後半から60年代初頭にかけてアメリカでのフォーク・リバイバル運動に従事し、ニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジの活動やボブ・ディランのキャリアのスタートに一役買っている。1950年代には、左翼活動を放送することを阻まれ、その結果として全米の大学キャンパス内でパフォーマンスを行い、フォーク・リバイバル運動を広める活動に徹した。ピートは生前、次のように話している。
「俺がやってきた中で一番重要だったのは、ひたすら大学を訪問してまわったことだね。たいていは規模の小さい大学を選んでいたよ。そうして学生たちに、ラジオでは放送されないけど、この国には素晴らしい音楽が存在しているんだってことを教えたのさ」
1996年には、ピートはロックの殿堂入りを果たし、2009年のマディソン・スクエア・ガーデンでのライブは、ピートの90歳の誕生日を記念し、ブルースをはじめデイヴ・マシューズ、エディ・ヴェダー、エミルー・ハリスなど多くのアーティストが出演した。さらに、先日行われた「第56回グラミー賞」でも最優秀スポークン・ワード賞にノミネートされていた。
(C)BANG Media International