「おっぱいラーメン」。そう、1年ほど前にネット上で話題になったあの店である。ブームを経て今どうなっているのか、ということで突撃取材を試みた前回だったが、店主である早川貴子さん(だけど、名刺には"リーダー"とある。詳しくは前回の記事を参照)は笑いながら快諾してくれた。今回はメニューのラインナップや1年前のブームについてお話していこう。

前回も触れたが、店名の「ラーメンBAR スナック、居酒屋。」にある通り、ラーメン店ではなく、「ラーメンBAR」である。ラーメンだけの注文はNGで、お酒を飲んで、料理を食べて、その締めにラーメンを食べるのがこの店の正しい楽しみ方。ということで、食事メニューも豊富だ。しかもユーモアたっぷりの名前が並ぶ。「熟女的水餃子」(600円)や「柔らかいのが二つ」(600円)、「デブの素A」(500円)等々……。とりあえず水餃子とデブの素Aを注文して、1年前のブームの話を聞くことにした。あのネットの盛り上がりで、やっぱりお客さんが増えたのだろうか。

「確かに新規のお客さんは増えたけど、口コミが広まったのは実はその前から。お店をオープンしてからすぐ、地元の皆さんが盛り上げてくれたんよ」。

店主だけど"リーダー"の早川貴子さん。一応取材のはずなのだが……

こんなにも目のやり場に困るインタビューがかつてあっただろうか

山口生まれ、大阪育ちだという早川さんは、関西のイントネーションでそう話してくれた。1年前の"おっぱいラーメンブーム"はたくさんの新規客を連れてきたが、そもそも店はその前から地元の商店街や飲食店の協力もあって盛り上がっていたのだという。それはやはり、早川さんの親しみやすいキャラクターがあってこそだろう。

ネットがきっかけで台湾やインドからも!

もはや取材ではなく"単に飲みに来た人"になってしまった

「あ、でもネットのニュースが海外でも読まれたみたいで、台湾やインドなんかからもお客さんがわざわざ来てくれたりしたのはびっくりしたけどね! 」。そう言って、豪快に笑う早川さん。この時点で店内には他にも何人ものお客さんが入っており、にぎわいを見せていた。中には初めて1人できたという人もいたのだが、アットホームな雰囲気と、何より早川さんの人柄のおかげで常連とも会話が盛り上がっている。

これまでに多くの飲み屋を巡ったが、これほど誰とでも打ちとけられる空気が自然にできあがっている店はなかなかない。「おっぱいラーメン」の部分はいわば飛び道具であり、この店の雰囲気こそが地元で愛される理由なのだろう。常連のお客さんも、「今日初めて? "おっぱいラーメン"で来たんでしょう? 最初はそこから入るんだよね、みんな」と焼酎を手に笑っていた。

「デブの素A」(500円)。ちなみにBは唐揚げ

「熟女的水餃子」(600円)

そうそう、頼んでおいた料理だけど、どれもおいしかった。奇抜な名前のものも多いのだけど、味はとてもしっかりしている。やっぱり飲食店は味が一番大事なのだ。

3杯目のお酒を飲んだところで、いよいよ締めのラーメンを頼んでみることにした。「あいよ! 今日は太麺だけど良い? 」と早川さん。なんでもラーメンの麺はその日によって異なるらしい。

しばらく待っていると、いよいよラーメンが登場! うわわわわ! なんてセクシーな! さっきは「やっぱり飲食店は味が一番大事」とか書いた気がしますが、この光景を見た瞬間そんなざれ言はすべて頭から吹っ飛んじゃいますね! ビバ! おっぱいラーメン!

手際よくラーメンを作る早川さん。しかしどうしても視線は手元ではなくその奥に行ってしまう

カメラのピントまで奥に合い始めた。しょうがないよね

これぞおっぱいラーメンの真骨頂

……なお、ラーメンの味だが、飲んだ後に締めとして食べることを想定していることから、味はあっさり。こだわりの麺もスープが絡んで絶妙な喉ごし! 一杯や二杯はぺろりと食べられそうなくらいのおいしさだ。最初はそのままスープと麺をいただき、途中からは柚子胡椒とライム、そしてカツオのオイルで味を変えていくのが早川さんオススメの食べ方。

味はあっさりで、飲んだ後に食べるにはぴったり! 近所にあったらおっぱい関係なしに通っちゃうなこれは

仕事そっちのけで散々食べて飲んでしゃべって目に焼き付け(!)て、いやはや何とも楽しい夜になった。「おっぱいラーメン」というインパクトある言葉が一人歩きしがちだが、「ラーメンBAR スナック、居酒屋。」はお酒も料理もおいしく居心地の良い店として、しっかりと地元に根付いていたのだった。