クロード=マリー・デュビュッフ≪デュビュッフ一家、1820年≫ 1820年 ルーヴル美術館 (C)RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Gérard Blot / distributed by AMF-DNPartcom

森アーツセンターギャラリーは4月19日~6月29日、「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」を開催する。

子どもたちの目線を通じて作品を読み解く

同展はタイトルにもあるように、子どもをモデルとした絵の展覧会。2009年11月から2010年3月までパリ・オランジュリー美術館で開催された展覧会、"Les enfants modèles"(「モデルとなった子どもたち」と「模範的な子どもたち」のダブルミーニング)を日本向けに再構成したものとなる。

パリのオルセー美術館とオランジュリー美術館、両館の支援のもと、フランス展の企画立案者でオランジュリー美術館の元館長、エマニュエル・ブレオン氏と、成城大学名誉教授、千足伸行氏の監修により、フランス国内に所蔵されている絵画を中心に、新たに作品を選定しなおした。

テーマは、描かれた側=モデルとなった子どもの体験と、描いた側=子どもたちの親、または子どもたちと親しい関係にあった画家の想い。画家に焦点を当て、その技術や特徴を鑑賞するという従来の展覧会の枠組みを超えて、子どもたちの目線を通じて作品に秘められたメッセージやエピソードを読み解くという、絵画の新しい鑑賞方法を提案する。

出展作家数がおよそ50人と多いのが、同展の特徴のひとつ。コロー、ルソー、モネ、モリゾ、ルノワール、セザンヌ、ドニ、マティス、ピカソ、レンピッカ、フジタなど、フランスのみならず日本でも高い人気を誇る画家たちによる子どもの肖像画が一堂に集結する。

日本初公開の、知られざる名作も展示

ルイ=レオポルド・ボワイー≪私の小さな兵士たち≫1809年ドゥエー、シャルトルーズ美術館 Inventory No.: 2043 Photo: Hugo Maertens

モーリス・ドニ≪トランペットを吹くアコ≫ 1919年 個人蔵 (C)Archives du catalogue raisonné MD Photo: Olivier Goulet

さらに、誰もが知る巨匠たちの作品と、日本ではあまり耳にすることのない画家たちによる作品が「子ども」という共通のテーマのもと、等しく展示されることも同展の見どころとなるという。

例えば、デュビュッフ家は三代にわたり優れた肖像画家を輩出した名家だが、日本ではその作品を目にする機会は多くない。同展では、初代クロード=マリー・デュビュッフと、三代目のギヨーム・デュビュッフの描いた作品が出展される。

また、ナビ派の中心的存在で19世紀フランスを代表する画家ドニを紹介。ドニは子だくさんの画家としても知られ、愛する子どもに囲まれたその生活から、自分の子どもたちの生き生きとした姿を描いた作品を多く残している。同展には、ドニの作品が6点出展されるが、なかでも「トランペットを吹くアコ」は、同展の趣旨に賛同した遺族の協力のもと、日本で初公開されるものとなる。

開催日時は、4月19日~6月29日 10時~20時(火曜日は17時まで)。入館は閉館の30分前まで。会期中無休。会場は、森アーツセンターギャラリー(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階)。観覧料は、一般1,500円、大学生1,200円、中高生800円。小学生以下無料。その他、詳細は同展Webページを参照のこと。