公正取引委員会はこのほど、2013年における消費税転嫁対策に関する取組状況を発表した。それによると、消費税転嫁対策特別措置法が施行された2013年10月以降に、消費税増税分の価格転嫁の拒否行為があったなどとして、同委員会が改善を指導した企業は139社に上った。

同委員会は2013年3月、消費税率の引上げを見据えた大規模小売業者による納入業者に対する買いたたき等の行為が生じているとの懸念が寄せられていたことから、違反行為の早期発見・是正を図るため、大規模小売業者2,000人および納入業者5万人を対象に書面調査を実施。この調査結果を踏まえ、同年7月、関係事業者団体に対して、調査結果に示された問題点を指摘するとともに、法令遵守体制の構築の徹底等を要請していた。

2013年10月1日には、転嫁拒否行為などに対して迅速・厳正に対処することを目的として、同委員会本局および地方事務所などに「消費税転嫁対策調査室」を設置。また、地方事務所などに相談窓口を設置し、事業者からの相談や情報提供の一元化を図っている。

同委員会は相談窓口に寄せられた情報などを踏まえ、これまで628社(2014年1月22日時点)に対して、転嫁拒否行為に関する検査を実施。このうち、小売業や製造業など139社(大規模小売事業者15社)で違反行為が認められた。

違反被疑事業者に対する調査の状況(出典:公正取引委員会Webサイト)

具体的には、大規模小売業者が衣料品の納入業者に対して、2014年4月1日をまたいで販売予定の商品について、納入業者の負担で、消費増税時の価格表示の変更に迅速に対応するための特別な値札を貼付して納入するよう要請していた。また、ある企業は穀物などの運送業務を委託している事業者に対し、運送代金を4月以降も消費増税分を上乗せせず据え置くと通知していたという。

同委員会は、指導対象の大規模小売事業者が属する5団体(日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会、日本生活協同組合連合会)に対して、会員事業者が同様の行為を行わないよう所要の措置を講じるよう2014年1月22日付で文書で要請した。

違反行為が認められた事業者に対しては、転嫁拒否行為の防止または是正のための必要な措置を指導するととともに、今後、悪質な事業者については勧告・企業名の公表を積極的に行っていくとしている。

転嫁拒否行為の未然防止のための取組としては、2013年度末までに同委員会主催の説明会を全国23カ所で計24回実施する予定。併せて、商工会議所などが開催する説明会などにも、引き続き職員を講師として派遣していくという。