会社員も、申告すると戻ってくるお金があるのだ

確定申告の季節がやってきました。「自分は会社員だから、確定申告なんて関係ない」と思っていませんか? 実は給料から天引きされいて、知らずに税金を多めに払っていることはわりと多いものです。確定申告で払い過ぎている税金を還付してもらいましょう。

常識1)会社員でも確定申告をすれば税金が戻ってくる
個人ができる確定申告では医療費控除が有名ですが、その他のケースでも確定申告をすれば、税金が戻ってくるケースがあります。例えば、「昨年家を買って住宅ローンを組んだ」「昨年退職してその後就職していない」「泥棒に入られた」など。思いあたることがある人は、「会社員でも絶対に確定申告すべき4つのケースとは?」をチェックしてみてください。

常識2)確定申告の書類は自宅で簡単に作成できる
「確定申告の書類作成は難しい」。そう思っていませんか? でも、「住宅ローン控除」「雑損控除(泥棒に入られた時など)」「中途退職で年末調整を受けていない」の場合などは、国税庁のホームページにアクセスすれば、自宅にいながらにして簡単に作成できます。必要な数字だけ入力すれば、難しい計算はコンピュータがやってくれるのです。

常識3)確定申告は既に始まっている
今年の確定申告の期間は、2014年2月17日(月)~3月17日(月)までです。ただし、「会社員でも絶対に確定申告すべき4つのケースとは?」でも紹介しているものは還付(戻してもらう)申告に当たるため、2014年1月1日より受付が始まっています。疑問点があって質問をしたい場合は、確定申告の時期になって混んでからより、今、早めに行っておいた方がいいのかもしれません。

常識4)確定申告書の提出先は自分が住んでいる住所が肝心
確定申告の提出先は、自分が住んでいる場所の所轄の税務署です。「家から一番近いから」や「勤務先の最寄り」というだけで提出してしまうと、税務署の管轄が違う場合があるので注意しましょう。

常識5)確定申告は、過去5年まで遡って申告できる
所得税の還付申告なら、過去5年分までさかのぼって申告できる場合があります。領収書など必要な書類がそろっていることが原則ですが、「去年、バタバタしていて医療費控除を提出していない!」なんていう人は、検討してみる価値があります。

常識6)税務署は親切にしてくれる
税務署と聞くだけで、何となく怖いイメージがありませんか?「このケースの場合は、どうなんだろう?」と迷う場合もありますよね。そんな時は、税務署に聞いてみるのが一番です。電話で相談に応じてもらうこともできます(確定申告期間中は電話が混雑している場合もあるので注意)。質問をするだけならば、管轄の税務署でなくても大丈夫です。「税務署のお役人さん」と聞くと、何となく怖いイメージがあるかもしれませんが、そんなことはないですよ。まずは気軽に問い合わせをしてみましょう。申告する内容が複雑なら、窓口に直接出向いて相談してもいいですね。

次項以降は、一番身近な医療費控除の細かい注意点です。

常識7)市販の薬のレシートも確定申告できる
かぜ薬などの、「治療のための一般的な医薬品」については、医師の処方や指示がなくても医療費控除の対象となります。かぜ薬のほか、頭痛・腹痛などの痛み止め、足を捻挫したための湿布薬なども医療費控除の対象となるので、薬局のレシートは金券だと思って大切にとっておきましょう。

常識8)病院に行く際の交通費も確定申告できる
医療費控除の対象となるのは、市販薬だけではありません。病院に行く時の交通費も認められます。電車・バス等の公共交通機関による交通費は、領収書がなくてもメモ書き等をされていれば認められます。タクシー代は原則として認められませんが、公共交通機関を利用できないやむを得ない事情がある場合に限って認められます。ただし、領収書は必要となります。

常識9)健康診断の費用は確定申告できない
次は、「病院の領収書だけれど、確定申告ができないもの」を整理してみましょう。健康診断等の費用は、病気の治療を行うものではないので、原則として医療費控除の対象とはなりません。しかし、健康診断等の結果、重大な疾病が発見され、かつ、その診断等に引き続き治療を行った場合には、その健康診断等は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるので、その健康診断等のための費用も医療費控除の対象になります。

常識10)メガネの購入費用
メガネの購入費用も医療費控除の対象になりません。「近視や遠視などのために日常生活の必要性に基づき購入されるものは、視力を回復させる治療の対価ではないので、医療費控除の対象とはなりません(国税庁HPより)」。ですが、視力レーザー手術(レーシック手術)の費用は医療費控除の対象です。「この手術は、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものであり、それに係る費用は、医師の診療又は治療の対価と認められます(国税庁HPより)」。

既にご存じのものは、いくつあったでしょうか? 意外と知られていない確定申告の常識を知ることで、より確定申告を身近に感じてほしいものです。

筆者プロフィール : 楢戸 ひかる(ならと ひかる)

1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。家事生活をブログ「家事マニア」にて毎週火曜日に更新中。