今年もいよいよこの季節がやってきました。3月3日(現地時間3月2日)に開催される第86回アカデミー賞授賞式です。アカデミー賞は言うまでもなく映画界最高の栄誉であり、全世界の映画ファンが注目するビッグイベント。
WOWOWでも毎年授賞式の様子を生中継しており、今年は3月3日午前9時より生中継される予定ですが、今年もバラエティに富んだ作品がノミネートされており、どの作品が賞を獲得するのか予想して楽しんでいる人も多いことでしょう。
そこで今回はその流れに乗っかり、アカデミー賞の受賞作品を予想してみたいと思います。まずは、最重要部門と言われるアカデミー作品賞から。
■作品賞ノミネート作品
『アメリカン・ハッスル』
『キャプテン・フィリップス』
『ダラス・バイヤーズクラブ』
『ゼロ・グラビティ』
『her 世界でひとつの彼女』
『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』
『あなたを抱きしめる日まで』
『それでも夜は明ける』
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
だいたい下馬評通りかなといった感じのラインナップ。中でも鉄板は10部門にノミネートされた『アメリカン・ハッスル』『ゼロ・グラビティ』と9部門ノミネートの『それでも夜は明ける』で、おそらく作品賞もこの3つのどれかだと無難に予想しておきます。前哨戦の結果を考えると、本命はやはり『それでも夜は明ける』でしょうか。
まだ奴隷制度があった19世紀のアメリカを舞台に、突然誘拐された黒人音楽家ソロモンが南部で12年間奴隷として送った人生の回顧録を映画化した作品です。日本ではアカデミー賞授賞式後の3月7日に公開されますが、俳優陣の演技、演出、脚本などがすでに世界中で高い評価を受けており、ゴールデングローブ賞でもドラマ部門で作品賞を受賞しています。
アメリカの黒歴史ともいえる奴隷制度を強烈に描いており、作品の完成度以上にアメリカ人に"刺さる"作品でしょう。こういった作品が生まれて評価されるところが、アメリカという国の強さだなぁと思います。
ただ、難しいのは様々な思惑が絡み合うアカデミー賞という場が『それでも夜は明ける』で扱った奴隷制度というテーマをどう評価するのかということ。過去に奴隷制度を描いた映画が「作品賞」を受賞した記憶は……あったかもしれませんが、サッと思い出したところでは出てきません。
で、『それでも夜は明ける』が避けられた場合の対抗作品は、1970年代に実際に起きた汚職スキャンダル「アブスキャム事件」をもとにした『アメリカン・ハッスル』で、こちらはゴールデングローブ賞ではミュージカル・コメディ部門の作品賞を受賞しています。さらに第20回米映画俳優組合賞(Screen Actors Guild Awards)授賞式では映画部門の最高賞に輝いており、勢いは十分です。この2作品ならどちらが受賞しても驚かないですね。
……このどちらかと思わせておいて『ゼロ・グラビティ』が選ばれたりすると、個人的にはテンションが上がるんですけどね!
三つ巴というのは勝負で一番盛り上がる状況ですから、今年は賞レースは面白いですね。