政府は24日、2014年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度を閣議決定した。2014年度の国内総生産(GDP)成長率については、物価変動の影響を除いた「実質」で前年度比1.4%増、生活実感に近い「名目」で同3.3%増とした。

国内総生産(出典:内閣府Webサイト)

政府は2014年度の経済財政運営の基本的態度として、「日本再興戦略」の実行を加速・強化すると明記。同戦略に盛り込まれた3つのアクションプランを推進することで、経済成長力を強化する。併せて、企業収益の拡大を賃金上昇、雇用・投資の拡大につなげ、さらなる好循環を実現するとしている。

2014年度の経済見通しについては、消費増税に伴う駆け込み需要の反動減には「留意が必要」としながらも、経済対策などの施策を推進することで「前年度に続き堅調な内需に支えられた景気回復が見込まれ、好循環が徐々に実現していく」と見ている。

実質成長率と寄与度(出典:内閣府Webサイト)

給与などの総額を示す雇用者報酬については、名目で前年度比2.0%増と、前年度の1.1%増を0.9ポイント上回ると予測。これが実現すれば、1993年度の2.3%増以来、21年ぶりの上昇率となる。国民所得については、同2.1%増(前年度3.4%増)としている。

完全失業率は3.7%と、前年度の3.9%から改善すると見込んでいる。

物価については、前年度より上昇率が高まり、消費者物価上昇率は前年度比3.2%増程度、総合的な物価動向を示すGDPデフレーターも同1.9%程度上昇すると予想している。

物価関係指数の変化率(出典:内閣府Webサイト)

民間最終消費支出は、実質が前年度比0.4%増、名目が同2.8%増となる見通し。雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな増加が続くと見ている。

民間住宅投資は、実質が前年度比3.2%減、名目が同0.4%減と予測。雇用・所得環境の改善に加え、復興への取組などにより、伸びはマイナスになるものの、前年度の水準をほぼ維持するとしている。

民間企業設備投資は、実質が前年度比4.4%増、名目が同5.0%増と予想。輸出や生産の増加、企業収益の改善などにより、引き続き増加すると見込んでいる。

鉱工業生産指数は、前年度比3.3%増と予測。輸出や国内需要の増加などから、引き続き上昇するとしている。

国際収支については、貿易収支の赤字は10兆円程度となる見通し。世界経済の緩やかな回復を背景に、輸出が増加することにより、赤字は徐々に縮小すると見ている。一方、経常収支の黒字は4.7兆円程度、経常収支対名目GDP比は0.9%程度と見込んでいる。

なお、先行きのリスクとしては、金融資本市場の動向、アジアの新興国等の経済動向、電力供給の制約などに留意する必要があるとしている。