中小企業庁の委託事業として運営する、中小企業・小規模事業者向け支援ポータルサイト「ミラサポ」は23日、「グッド・ビジネス・アワード 事業化プロジェクト発足式」を開催。小島豊美さん(東京都・ジャピール)の「地歴を伝えて温故創新で都市地域の観光活性おもてなし多言語対応SNS」がグランプリに輝いた。
中小企業のビジネスアイディアをミラサポがサポート
このアワードは、全国の中小企業・小規模事業者から新しいビジネスアイディアを募り、その実現化をミラサポがサポートするもの。ポータルサイト内で形成されたビジネスコミュニティを活用して、事業性の高い優れたアイディアに対し専門家がアドバイスを行うほか、事業計画を実現するためにミラサポ自体が後方支援していくという。
ミラサポは2013年10月から「本格版」の運用を開始し、現在約2万6千のユーザーが参加し利用している。事業の主な柱は、(1)国や公的機関の施策情報の提供、(2)コミュニティ提供、(3)分野ごとの専門家への相談依頼。全国の事業者が地域・業種という壁を越えて気軽に悩みを共有したり、ビジネスに関するアイディアを語り合って実現に向けた連携を育んだりと、これまでにないコミュニケーション環境づくりを目指した事業となっている。
176応募から選ばれたファイナリスト5人がプレゼン
今回は、全国から176案件が一次選考、二次選考を経て、ファイナリスト5案件が選出され、この発足式でそれぞれのビジネスアイディアについてプレゼンテーションを行った。
"住「あんしん」ビジネス部門"ファイナリストの西村邦裕さん(テンクー代表取締役)がプレゼンテーションしたのは、ゲノムとライフログの解析とビジュアル化による"あんしん健康サービス"「Chrovis(クロビス)」。
"食「ごはん」ビジネス部門"ファイナリストの黒澤法導さん(一般社団法人 超人シェフ倶楽部)が紹介した「美味認定」は、日本の一流シェフたちで組織する一般社団法人「超人シェフ倶楽部」が"おいしい逸品"を見立て認定し、その商品の広報活動に役立てようとするもの。
"匠「ものづくり」ビジネス部門"ファイナリストの三澤誠さん(エヌ・イー・ワークス代表取締役社長)は、島根県・奥出雲町で本物の花を菓子に使用する"Dry Edible Flower"の生産で地域に雇用を創出する「花満開プロジェクト ~奥出雲から世界へ」について話した。
"楽「おもてなし」ビジネス部門"ファイナリストの小島豊美さん(ジャピール代表取締役)は「地歴を伝えて温故創新で都市地域の観光活性おもてなし多言語対応SNS」として、東京の地理と歴史の地図データを紹介した。
"学「まなび」ビジネス部門"ファイナリストの長谷部光伸さん(jaefa.art-village代表)は、音楽、芸術の分野で障害者が活躍できる場所をつくりをマネジメントする「障害者アートヴィレッジ(障害者芸術村)の創設。」について話した。
小島さん「東京という街の全貌が見えてくることを目指す」
グランプリに選ばれた小島豊美さんは、「私は東京生まれの東京育ち。東京っていう街がどれだけ豊かな文化を持った街なのか私はそのことに本当に誇りを持って仕事をしてきました。ただ残念なことにそのことを意外にみんな知らないんです。
インターネットの時代になって、ここに誰が住んでいたとか、今どんなつながりでこの街になってるんだろうとか、この建物はなんなんだろうとか、あらゆる情報を紐付けしたら普段の我々の心持ちが違ってくるんじゃないかなと。8年間籠もりに籠もって調べた結果、今のデータがあります。
でもこれで終わりっていうデータじゃない。ありとあらゆる東京の地歴データをこの中に集めたら、東京という街の全貌が見えてくるんだなあと、私は実はそれを目指しています」とコメントした。
赤池学審査員長(ユニバーサルデザイン総合研究所所長)は、「地域の商店街や地元の商工会が使っていく、あるいは地方自治体がお金を払いながら地域の観光情報をデータベースとして活用していく、また大手のデベロッパーさんなんかもぜひ連携したらいいと思います。多様な連携が考えられます。
この地図データに一番感じたのは情熱です。情熱っていうのもベンチャー企業に欠かせないエンジンだと思っています」と話した。