文藝春秋はこのほど、文春新書『アメリカは日本の消費税を許さない 通貨戦争で読み解く世界経済』を発売した。著者は岩本沙弓氏。価格は750円(税別)。
経団連をはじめとする輸出産業は、なぜ消費増税を歓迎するのか。同書によると、例えば日本製品を米国に輸出する場合、輸出企業は、消費税に当たる金額を輸出還付金として日本政府から受け取ることができる。これが非関税障壁となり、日本企業の競争力を増すことになるのだという。
岩本沙弓氏によると、米国は過去に日本の消費税に対して以下のような報復を行ってきたという。
1989年の消費税導入→日米構造協議
1994年の消費税増税法案可決→年次改革要望書
1997年の消費税増税→金融ビッグバン
2010年の消費税10%案→日米経済調和対話
2012年の増税法案可決→TPP協議本格化
では、今回の増税に報復はあるのか?
岩本氏によると、消費税をはじめ、TPPや規制緩和などの諸問題は、日米交渉の歴史という観点から見るとひとつの道筋で繋がっていることがわかるという。同書は、現地で渉猟した米公文書館の資料をもとに解説する"誰も書かなかった日米経済戦争の真相"といった内容となっている。
著者の岩本沙弓氏は青山学院大学大学院国際政治経済学科修士課程修了。金融コンサルタント、経済作家、大阪経済大学経営学部客員教授。著書に『新・マネー敗戦 ドル暴落後の日本』などがある。