三菱地所グループは1月18日、グループの住宅事業や不動産流通ビジネス、並びに各社の連携を紹介する「住まい」に特化した合同新卒採用説明会「住まいプロジェクトを、見に行こう。」を開催した。この試みは、同グループで初だという。
参加するのは、マンション管理事業の三菱地所コミュニティ、注文住宅・リフォームの三菱地所ホーム、法人向け不動産仲介の三菱地所リアルエステートサービス、マンション・戸建住宅の開発・分譲を担当する三菱地所レジデンスの4社。横浜ランドマークタワーや丸ビルなどのオフィスビルではなく、「ザ・パークハウス」などの「住まい」を担う会社だ。
従来の「合同説明会」と言えば、様々なジャンルの会社が集まるもので、参加学生は知らない事業に触れられるメリットがある反面、個々の会社について知る時間は短くなってしまうという問題があった。しかし最近は、電通やソフトバンクグループなどが集まった「汐留女子会」や、百貨店の立場から食の未来について考えるプログラムなどを行う「三越伊勢丹インターンシップ」など、新たな視点を取り入れた説明会が増えている。そこには、いったいどのような狙いがあるのだろうか。三菱地所リアルエステートサービス株式会社 人事部 人事グループ 川戸敬三郎さん、三菱地所レジデンス 人事部 人材開発グループ 太田哲朗さんに話を伺った。
「就職活動という短期間の中で効率的に情報を与えてあげたい」
--どうして今回「住まい」に特化したイベントを企画されたんですか?
太田さん「時代の変化によって、会社のダウンサイジング、効率化、スピード化を狙いとした分社化が進み、それゆえに本来重なりあう仕事の流れが学生に見えなくなり、会社と会社を埋めているプレイヤーがいるはずだということが伝わりづらくなってしまっているのが現状だと思います」
川戸さん「当社は不動産の中でもわかりづらい仕事をしているので、より学生に理解してもらうための仕掛けとして、グループの流れで仕事を説明をしていけばいいのではないかと思いました。単独でするのではなく、合同で各社の関わり方を見せることに重きをおいたイベントにしたいと考えました」
太田さん「経験がある社会人なら、1つの会社を見れば他の会社の役割もわかってくるでしょう。でも、彼らにとってはわからない。そこを埋めてあげるのは誰なんだろうと考えたときに、サポートしてあげることが今の採用担当者にとってひとつの役割なのではないかと思うんです。就職活動という短期間の中で効率的に情報を与えてあげたいなと」
--"住まい"というくくりにしたのはどうしてでしょうか?
太田さん「いろいろな切り口はありますが、家や住まいについて大事だな、と興味を持ってくれている人自体はたくさんいると思いますので、わかってもらえる余地がありそうな期待がありました」
川戸さん「住まいの会社って、『作る』『売る』くらいの認識しか持たれていないのですが、実際はいろいろな会社が関わっていて、それぞれの立場からのやりがいや魅力があります。単純に"住まい"から受けるイメージを、もう少し広げて理解してもらいたいと思いますね」
--反応はいかがでしたか?
川戸さん「率直に、やってよかったなと思っています。学生さんの反応も上々で、こちらが狙っていた"各社のつながりから理解してもらう"という部分も理解をしてもらえてるのかなと、かなり効果はあったのかなと思います」
太田さん「この場にきた人たちが食わず嫌いしていないことが良かったですね。普通に合同説明会をやったら、"この会社だけでいいや"ということもあると思うのですが、それがなかった」
川戸さん「均等にわかれていろんなことを知ろうという意欲が見えて、こちらにとっても新鮮でした」
2016年新卒採用から、就職活動のスケジュールが後ろ倒しに
同グループは2008年より合同での企業説明会を開催。2013年10月には、三菱地所ホームと三菱地所レジデンスが合同でインターンシップを開催するなど、不動産ビジネスの理解の場を提供する取り組みを行ってきたという。また大学のキャリアセンター等からの要請を受け、学生に対するキャリア教育にも貢献してきた。
2016年新卒採用では就職活動のスケジュールが後ろ倒しになり、学生が準備をする期間も短くなる見込みだ。企業側も個々の「採用活動」にとらわれず学生のキャリア観形成をサポートことで、良い人材を得ようという方向へシフトしてきているのかもしれない。