iPhoneに"おサイフケータイ"の機能を追加するケースが登場するという噂が話題になっている。とはいっても、これは米国の話で、米国版おサイフケータイと呼べる「Isis Wallet」の話だ。これはiPhoneに装着するケースにセキュアエレメント(SE)を内蔵したNFCユニットを挿入し、App Storeから当該アプリをインストールすることで、本来であればAndroidの一部機種でしか利用できないIsisがiPhoneでも利用可能になるという。
同件はEngadgetが報じている。Isisとは、米国の大手携帯キャリア3社(Verizon Wireless、AT&T、T-Mobile)が作った決済サービスを専門に手がけるジョイントベンチャーで、つい昨年2013年末に全米でのサービスを開始したばかりだ。ただし前述のように、現在は3キャリアいずれかの出しているAndroid端末の一部のみの動作に限定されている。無料アプリ自体はGoogle Playからダウンロード可能なものの、ペイメントサービスを利用するための専用SIMを必要とすることもあり、まだまだ利用ハードルが高いという問題もある。
だがEngadgetのレポートによれば、IncipioのCashwrapという専用ケースを使えば、iPhoneであってもIsis Walletが利用可能になるという。Cashwrapは70ドルで販売され、AT&Tストアの在庫にも用意されるようだ。Engadgetの掲載したリーク写真にはCashwrapをセットアップする際の説明書きが記されており、ここにセキュアエレメント(SE)を内蔵したmicroNFCをケース底面に挿入するようにとの指示がある。microNFCとは何なのか不明だが、NFCアンテナを搭載したmicroSDカード、またはペイメントサービスに対応した(新しいタイプの) microSIMカードのことを指すと思われる。筆者の予想では後者の可能性が高く(実際、Isis Wallet向けに配布されているのはmicroSIMのみ)、NFCアンテナそのものはケースに内蔵されているとみられる。日本ではiPhone向けにシールでFeliCaカードと同等の機能を提供するFeliCa Liteの提供が行われていたりするが、それとは若干異なる仕様のようだ。
また、セットアップのためのアプリはApp Store経由でダウンロード可能とされているが、どのようにmicroSIMとiPhoneが通信を行い、さらにApp StoreにAndroid以外のアプリが提供されるのかという疑問もあり、不明な点が多い。いずれにせよ、実際に発売されるとしても正式アナウンスはもう少し先のことになると思われる。