日本銀行は、21~22日に開催した金融政策決定会合において、当面の金融市場調節方針を決定した。2015年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率については、前年度比1.9%増とする従来の見通しを維持した。

2013年10月の「展望リポート」では、消費増税の影響を除いた消費者物価指数の上昇率を、2014年度は前年度比1.3%増、2015年度は同1.9%増と見込んでいたが、今回はともに据え置いた。

国内総生産(GDP)実質成長率の見通しについては、2014年度を前年度比1.4%増とし、2013年10月の同1.5%増から下方修正。2013年度と2015年度は、それぞれ前回から変更せず同2.7%増、同1.5%増とした。日銀は「成長率、消費者物価ともに、概ね見通しに沿って推移すると見込まれる」との見方を示した。

景気の基調判断については、前月の「緩やかに回復している」から「緩やかな回復を続けており、このところ消費税率引き上げ前の駆け込み需要もみられている」に変更。これまでの判断を踏襲しつつ、消費増税前の駈け込み需要について言及した。

資金供給量(マネタリーベース)を年間60~70兆円規模に増やす金融政策「量的・質的金融緩和」の継続についても、政策委員の全員一致で決定した。

設備投資については、前月同様「企業収益が改善するなかで、持ち直している」と判断。公共投資についても、前月と同じ「増加を続けている」とし、住宅投資についても増加しているとの見方を据え置いた。

海外経済については、前月の「一部に緩慢な動きもみられているが、全体として緩やかに持ち直している」から「一部になお緩慢さを残しているが、先進国を中心に回復しつつある」に表現を強めた。輸出については、前月までの「持ち直し傾向にある」に据え置いた。

個人消費については、雇用・所得環境が改善する中、前月同様「底堅く推移」していると判断。上記の内外需要を反映し、鉱工業生産についても前月と同じ「緩やかに増加している」との見方を示した。

経済の先行きについては、消費増税に伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、「基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる」と判断。消費者物価の前年比は、消費増税の直接的な影響を除いたベースで見た場合、しばらくは1%台前半で推移すると予測した。

一方、リスク要因として、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどを挙げ、前月まで記載していた「日本経済を巡る不確実性は引き続き大きい」との文言を削除した。