日本法規情報は20日、「親族トラブル意識調査」の結果を発表した。それによると、2013年度の税制改正により、4,800万円以上の財産があれば相続税の課税対象になることを、「知らなかった」と答えた人は6割超に上った。

2013年度の税制改正では、相続税が大幅に増税されることが決定している。日本法規情報によると、主な改正案は以下の通り。

1.基礎控除額

基礎控除額については、これまでの「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から、「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられる。これにより、従来は相続人が3人の場合、8,000万円以上の遺産がなければ相続税はかからなかったが、改正後は基礎控除が4割引き下げられるため、4,800万円以上の財産があれば原則として相続税が課税されることになる。

2.最高税率引上げ

相続税の最高税率については、50%から55%に引き上げられる。また、税率区分は現状の6段階から8段階に変更され、6億円超の遺産に最大の55%、2億円超3億円以下の遺産には新たな税率区分として税率45%が設定された。

3.相続時精算課税贈与制度の対象者拡大

相続税精算課税の受贈者については、これまで推定相続人のみだったが、新たに20歳以上の孫が追加され、贈与者の年齢要件も65歳以上から60歳以上に引き下げされる。

今回の相続税改正により、例えば、妻と子供2人で4,800万円以上の財産があれば原則として相続税が課税されるとになるが、今回の調査でそのことを知っていたかと尋ねたところ、過半数の63%が「知らなかった」と回答。また、「相続税をよく理解していない」と答えた人も11%いた。一方、「知っていた」人は26%にとどまった。

4,800万円以上の財産があれば相続税課税対象になる「知らなかった」が6割

相続税改正を受けて、相続トラブルの増加も懸念される。同社によると、相続トラブルについては、「トラブルになるような貯金はないから大丈夫」と考える人も多いが、実際は資産(現金)があまりないゆえに親族間トラブルに発展する場合が多いという。

そこで、「貯金がなくて自宅があるのみ」といったケースだからこそ、相続トラブルが多いことを知っていたかと聞いたところ、「知らなかった」人は71%に上り、「知っていた」人は23%にとどまった。

「財産は自宅のみ」というケースでも相続トラブル多発!「知らなかった」が7割強

同社は、相続問題に豊富な経験とノウハウをもつ法律家のアドバイスを受けるよう勧めている。

同調査は、同社が運営する「相続問題相談サポート」「税と法律の相談窓口案内 相続・遺言手続き」などのサイトの運用情報やユーザーへのアンケートを元に、親族間に対する意識調査を実施し、「深刻化するトラブルとその現状」についてまとめたもの。調査期間は2013年12月20日~2014年1月18日、有効回答数は1,449人。