民間シンクタンクの産労総合研究所はこのほど、「春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」の中間集計結果を発表した。それによると、2014年の春闘で定期昇給も含めた賃上げを実施する予定と回答した企業は58.9%で、前年より9.5ポイント減少したことがわかった。
同調査は、2013年11月中旬~12月下旬に郵送にて行われ、東証1・2部上場企業と過去に同調査に回答のあった同社会員企業3,000社のうち、12月19日までに答えた151社について集計した。
今春闘の賃上げについて、世間相場の予測を尋ねたところ、約半数の47.0%が「2013年(前年)を上回る」と答え、前年の1.3%から45.7ポイントも増加した。それに対して、「2013年と同程度」は同15.9ポイント減の35.1%、「2013年を下回る」は同25.8ポイント減の2.6%となった。
一方、自社については「賃上げを実施する予定(「定昇のみ実施」も含む)」と回答した企業は58.9%で、前年の68.4%と比べて9.5ポイント減少。反対に、「賃上げは実施せず、据え置く予定」の企業は同5.4ポイント増の9.9%、「賃下げや賃金カットを考えている」企業は同2.0ポイント増の3.3%と、ともに前年より増加した。
賃金改定に向けた経営側のスタンスを調べたところ、「定昇制度あり」と回答した企業121社のうち、「定昇もベアも実施する予定」と答えた企業は6.6%で、前年の5.8%から微増したものの1割に満たなかった。また、「定昇のみ実施する予定」の企業は55.4%で、前年より10.7ポイント減少した。同社は「『景気回復の実感』からはほど遠い結果となっている」と分析している。
2014年の賃金改定に当たり、自社の業績が向上した場合はどのように配分するかと聞くと、「賞与に回したい」が圧倒的に多く68.9%。このほか、「賃上げと賞与にバランス良く配分」が20.5%、「昇進昇格の原資に回したい」が2.6%などとなり、「賃上げに回したい」はわずか1.3%にとどまった。
安倍政権による賃上げ要請の働きかけについて、自社の賃金改定に影響を与えるかどうかと質問したところ、半数以上の51.7%が「影響しないと思う」と回答。他方、「影響すると思う」は26.5%、「わからない」は21.9%となった。