ハリウッド映画『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年)で、鮮烈な女優デビューを果たしたTAO。トップモデルとして第一線をひた走ってきた彼女が、同作で女優に開眼し、2014年1月19日から放送されるWOWOW「連続ドラマW」枠の『血の轍』で、国内ドラマデビューを果たすことになった。
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原作は、同枠の『震える牛』に続く、相場英雄の同名小説。主演の谷原章介と、お笑いトリオ「ネプチューン」の原田泰造が扮する2人の刑事の対立を軸に、警察組織内の覇権争いや陰謀を描いていく、重厚な刑事ドラマとなった。TAOが扮するのは、ハッキングが得意な特殊捜査班・坂上陶子役だ。ワクワクしながら現場入りしたというTAOにインタビューし、撮影秘話や、今後の女優としての抱負について話を聞いた。
――日本の連続ドラマ初出演となりましたが、今の心境を聞かせてください。
『ウルヴァリン~』の撮影がとても楽しかったので、今度は自国で、母国語のお芝居をしたいと思いました。私が日本に興味がなく、ハリウッド映画だから出演したと思っている方がいらっしゃるかもしれないのですが、女優として初めてのお仕事が外国の作品だったというだけで、むしろ『ウルヴァリン』のあと、日本のみなさんには求めていただけないのかしら? という不安があったので、今回お仕事をいただけたことがすごくうれしいです。共演の方がベテランの方ばかりで恐縮ですし、足を引っ張ることがあったら嫌だなと緊張していますが、私が経験不足なことはみなさんもよくご存知で、とても優しくしてくださっています。
――女優としての面白さはどんな点ですか?
モデルの仕事もそうですが、自分じゃない誰かに変身できるところがいいですね。今は女優として、声を使ったり、アクションをしたりするのがとても楽しいです。また、モデルの仕事と比べると、もっと長期間に渡り、たくさんの方と一緒に、物づくりをしているという感覚になれるところが好きです。
――元々女優志望だったのですか?
いえ、全くそうではなかったです。『ウルヴァリン~』は、最初、ヒュー・ジャックマンに会いたいという不純な動機で応募し、オーディションを受けていくうちに、あの役を他の人に渡したくないという強い気持ちに変わっていきました。だから、ヒュー・ジャックマンと監督には、新しい人生のドアを開けてもらったということで、感謝してもしきれないほどです。
――『血の轍』の原作と脚本を読まれて、どんな印象を受けましたか?
単純な善と悪ではなく、それぞれの思いが交錯し、こっちから見るとこっちが正義だし、あっちから見るとあっちが正義というところが面白いと思いました。全4話だから、みなさんがどんどん引き込まれるのではないかと。私も、自分以外のシーンがどうなっていくのか楽しみです。
――日本の刑事ドラマで好きな作品はありますか?
『踊る大捜査線』とか、『ケイゾク』とか、『ストロベリーナイト』は、ハマって見ていたので、今回自分が刑事を演じるのが不思議です。ただ、セリフは難しいだろうなと、脚本を渡される前から思っていましたが、実際に読み込むと、やはり普段言い慣れない特殊な専門用語がたくさんあり、そのあたりが課題です。でも、全く違う職業を演じられること自体がうれしいです。警察手帳の撮影で、制服を着た時もすごくうれしかったです。
――特殊捜査班の刑事という役作りとして、参考にした映画やキャラクターはありますか?
監督とプロデューサーのお2人から、『24-TWENTY FOUR-』のクロエ役がイメージ的には近いのでチェックしてくださいと言われたので、それは見ました。でも、変に影響されたら嫌だなと思い、テレビで刑事ドラマをやっていると、何となくチャンネルを変えてしまったりもしました。
――坂上陶子の内面にはどのようにアプローチしていきましたか?
私はわりと、役どころに自分の似ているところを見つけ、そこから発展させる傾向にあるのかなと。まだ2作目なので、大きなことは言えないのですが、そういうやり方が自分には合っている気がします。陶子役について言えば、脚本家の方が私をイメージして書いてくださり、私にとってやりやすい状況を作ってくださったので、とてもありがたかったです。みなさんも、素のTAOっぽい役でいいからと言ってくださいました。
――ご自身に近いというのは、どんなキャラクターなんでしょう
私も、それってどの自分なんだろう? と考えた時、熱いものを十分秘めたクールな女刑事みたいなところがしっくりくるのかもしれないと思いました。私は、わりと涼しい顔をしているように見えがちなんですが、内と外とは温度差があるので、そういう部分は似ているかもしれません。そこをベースにして、監督とお話をしながら、組み立てていきました。もちろん私はハッキングもできないし、犯人を追いかけたりもしないので。
――ご自身の熱い部分について、もう少し聞かせてください。
ギラギラした野心家タイプだと思います。そこは人よりも勝っているというか、モデルとして海外でやってこれたのは、そこに尽きますね。最初、日本で芽が出なかったのが悔しくて。それで自分が求められた場所、パリへ行き、その後ニューヨークへ渡ったのは、自分にとって辛い選択だったりもしました。いつか自国の人に認められたいと意地になっていた部分はありましたが、その思いが原動力となっていたのは確かです。だから、今回日本のドラマで、日本の方々が私を見てくださることがとてもうれしいです。
――今後、女優、モデルとして、どういうスタンスでやっていかれますか?
モデルとしての私を応援してくださったファンの方々の中には、モデルのままでいてほしいと思われる方もいるかもしれませんが、そんな不安以上に、自分が現場へ行ける楽しさの方が今は大きいです。何と言われてもやりたいと思えるものに出会えたことがすごく幸せです。今、プライオリティー的にはお芝居に傾いていますが、モデルとしても、ずっと求められ続けるような存在でありたいとは思っています。今は一緒にお仕事をさせていただくみなさんに恥じないためにも、女優として突き進むしかないと。現場がすごく楽しくて、毎日スポンジのように吸収してます。大人になってから、そういうふうに感じられること自体が素晴らしいし、その気持ちは、今後キャリアが長くなっていっても忘れたくないと思っています。
連続ドラマW『血の轍』は、1月19日(毎週日曜22:00~)スタート。 全4話(第1話無料放送)