松たか子が主演を務める25日公開の山田洋次監督最新作『小さいおうち』が、第64回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品されることが15日、明らかになった。
山田洋次監督は、「なぜかぼくの作品はベルリン映画祭に縁がある、というよりベルリンにしか縁がないといった方がいいのかもしれません」とコメント。そして、『東京家族』で選ばれた昨年の上映会において、「次の作品は『小さいおうち』でこの作品もまたベルリン映画祭で上映されることを期待しています、などということを語ってしまいました」と振り返り、「それが本当に実現したのです。うれしくないわけがありません」と喜びを表現した。
ベルリン国際映画祭ディレクターのディーター・コスリック氏は、「山田洋次監督はベルリン国際映画祭の長年の友人であるだけでなく、世界の映画界における最も偉大な巨匠の一人」と称し、「彼の映画は常に、人間について語ると同時に、見る者に日本の歴史について興味深い見識を与えてくれます」とコメントしている。
『小さいおうち』は昭和初期、恋愛事件に揺れ動く2人の女性の運命と、その時に封印された秘密を通じて、戦時下から現代に至るまでの"本当の歴史"を描いた、切なくも心揺さぶられる物語。昭和モダンと呼ばれる、西洋文化と日本文化が混じり合って生まれた、独特の世界観も魅力となっている。
山田洋次監督の作品の同映画祭への出品は、『たそがれ清兵衛』以降8作連続。またコンペティション部門へは、『母べえ』以来、6年ぶり5作目の出品となる。昨年は『東京家族』でベルリナーレ・スペシャル部門に出品され、2010 年には特別功労賞にあたるベルリナーレ・カメラを受賞している。