米連邦取引委員会(FTC)は1月15日(現地時間)、アプリ内課金に関する訴訟で米Appleと合意したと発表した。これは、親の同意なくアプリ内課金のシステムを使って子供が支払いを行ってしまうという問題で、Appleは最低3,250万ドルの返金に応じるという。

FTCの発表

無料または有料で提供されるアプリについて、AppleではApp Storeを通してアプリ内課金(In-App Purchase)が可能な仕組みを提供している。これは、気に入ったユーザーに対してアプリ内課金を行うことで機能制限や有効期間を解除したり、あるいはアプリ内で利用できるアイテムを追加購入できなどのオプションを提示するものだ。アプリ開発者にとっては収入を得る手段であるとともに、利用者は例えば追加購入したアイテムでゲームを有利に進めるなどの特典を得られる。そのため、子供にスマートフォンやタブレットを与えている親はアイテム課金を際限なく使われることを防ぐため、ペアレンタルコントロールの形でこうした行為を制御することが可能だ。

だがFTCによれば、このApp Storeのアプリ内課金システムには穴があり、親が一時的にアプリ内課金を許可するためにペアレンタルコントロール解除のためのパスコードを入力すると、その後15分間はアプリ内課金を含む購入が無制限に可能になるという仕様になっている。そのため、親は1回のみのアプリ内課金の許可を与えたと思っても、この制限時間内であれば何度でも購入が可能になってしまうため、予想もしない請求が行われることとなる。報告レポートによれば、この一時解除のアプリ内課金だけで2,600ドル(約26万円)の購入が行われたケースもあるという。この通知義務が徹底されていないことがFTCの基準に違反しており、訴訟へとつながっている。

今回の和解によりAppleは、アプリ内課金のシステムについて改修を含む何らかの通知手段の実装を義務付けられる。これは今年3月31日までの対応が必須とされている。また、今回の和解による返金措置があることをユーザーに対して通知する義務も発生しており、和解勧告から1年以内での対応が行われることになる。米国外ユーザーへの対応は不明だが、対象者は今後Appleからメール等での連絡を受けることになるだろう。