俳優の唐沢寿明が、スーツアクターの活躍と奮闘劇を描いた映画『イン・ザ・ヒーロー』(2014年秋公開)で主演を務めることが15日、明らかになった。
スーツアクターとは、ヒーローや怪獣などのスーツや着ぐるみを着て演じる特殊な技能を持つ俳優のこと。日本で生まれた演技スタイルで、特撮(特殊撮影)のドラマや映画などに欠かせない存在となっている。武正晴監督がメガホンを取る本作は、これまで影の存在とされてきたスーツアクターにスポットを当て、堂々と顔を出して演じる「アクション俳優」を夢見ながらアトラクションイベントにも精を出す彼らの奮闘、軌跡を描く。
唐沢が、2009年の映画『20世紀少年<最終章>ぼくらの旗』以来の主演作で演じるのは、熱血漢でブルース・リーを崇拝し、「下落合ヒーローアクションクラブ」の社長兼スーツアクター・本城渉(48)。ある日、数年ぶりにヒーロー映画の出演オファーが舞い込むも、特撮にまるで敬意をもたない人気絶頂の若手俳優・一の瀬リョウに役を奪われてしまう。あることをきっかけに分かり合った本城と一の瀬。その後、一の瀬が出演したハリウッド大作で、アクション俳優が降板。困り果てたハリウッドスタッフは、日本一のアクション俳優の評判を聞きつけ、本城に白羽の矢を立てる。
今回の役柄について、「不思議な縁を感じています」と語る唐沢。「アクションもできる俳優になりたくて、16歳から4~5年間スーツアクターの仕事をしていました」と振り返り、「今回の役はまさに私の原点のようなものです。スタントマンは言い訳ができない。失敗はすべて自分の責任。記録が出ないのは自分の責任というスポーツの世界に近いものがありますね。あの経験があったからこそ今の自分があると思っています」と気合十分で撮影に挑む。
唐沢は撮影に備えて、9月からトレーニングを開始し、現在はウェイトトレーニングやアクションの稽古に励んでいる。食事制限をして体重を落とすほどのこだわりようで、「なぜもっと早く、せめてあと5年早くこの話を持って来てくれなかったんですかね、とは思っています(笑)」と全盛期の感覚のずれが歯がゆい様子。「できる限りスタントマンを実際使わずに自分で演じたいくらいです。どこまで危険か分かりませんけど(笑)」という言葉からも、今回の役柄に対する情熱が伝わってくる。