経済産業省と特許庁は14日、2013年秋の臨時国会で成立した産業競争力強化法で定められた「特許料等の軽減措置」の詳細を発表した。4月1日以降、中小・ベンチャー企業や小規模企業等が国内出願を行う場合の「審査請求料」と「特許料」、および国際出願を行う場合の「調査手数料・送付手数料・予備審査手数料」が、それぞれ3分の1に軽減される。
経済産業省によると、特許出願総数に占める中小企業・個人による出願の割合は米国の半分以下(日12%、米25%)にとどまっている。このような背景を受け、特許の出願・権利化を支援するために今回の措置に至ったとしている。
軽減措置の対象は、1.小規模の個人事業主(従業員20人以下(商業またはサービス業は5人以下))、2.事業開始後10年未満の個人事業主、3.小規模企業(法人)(従業員20人以下(商業またはサービス業は5人以下))、4.設立後10年未満で資本金3億円以下の法人。なお、3および4については、大企業の子会社など支配法人のいる場合を除く。
対象期間は、2014年4月から2018年3月までに、特許の審査請求または国際出願を行う場合となる。
国内出願を行う場合の「審査請求料」と「特許料」については、平均的な内容の出願で、現行の約38万円から約13万円に軽減される。また、国際出願を行う場合には、「調査手数料・送付手数料・予備審査手数料」が現行の約11万円から約3万5,000円に軽減される。
国際出願に係る手数料のうち、世界知的所有権機関(WIPO)に対する手数料は、手数料自体を軽減するのではなく、手数料納付後に国際出願促進交付金として交付する。具体的には、「国際出願手数料」と「取扱手数料」について、納付した金額の3分の2に当たる額を交付する。ただし、予算の上限に達した場合などには、交付を行わない可能性がある。
中小・ベンチャー、小規模企業向けの特許料等の軽減措置は従来から行われていたが、軽減幅は2分の1だったほか、設立10年経過後は赤字企業のみが対象だった。今回の措置により、軽減幅が3分の1に拡がり、黒字であっても従業員20人以下はすべて軽減対象になるなど、対象が拡大。同一内容で比較した場合、日本の料金水準は日米欧中韓の五大特許庁の中でも最も低い料金水準になったという。
経済産業省と特許庁は、今回の措置により、中小・ベンチャー企業による国内外の特許出願が促進され、イノベーションが推進されることが期待されるとしている。