こちらの別記事でレポートしたAMDの次期SoC「Mullins」だが、そのMullinsを搭載するコンセプト機にて、新インタフェース「DockPort」の実装が確認できた。DockPortはDisplayPortの拡張規格で、ひとつのポートで通常の映像出力にくわえ、データ転送と電源供給が可能になる。IntelのThunderboltの対抗規格として開発されていたものだ。
「Mullins」のコンセプト機が備える「DockPort」。コネクタはMini DisplayPortと同じ形状で見分けがつかない。ちなみにこのデバイス、超小型だがSSDもメモリも入ったフル機能の"パソコン"なのにもかかわらず、インタフェースのポートはこのDockPortしか無い。ここに1本のケーブルを接続するだけで、ディスプレイ出力もデータ転送も電源供給もまとめて利用できるからだ |
上記のデバイスを実際に動作させているデモンストレーション。パッと見、本体がどこにあるかわからないと思うが、テレビの上にちょこんと乗っているのが本体。ケーブル1本だけ接続して電源供給と映像出力をしている。これでサッカーゲーム「FIFA 14」が遊べるデモになっており、コントローラはBluetooth接続 |
DockPortはもともと「Lightning bolt」の開発コード名で存在が知られており、昨年11月にAMDが開催したAPU開発者会議のなかで、「DockPort」という名称になることが発表となっていた。今回、CESでAMDが公開したMullinsのコンセプト機で実際にDockPortを利用したデモを見ることができるほか、VESAもCES会場にDisplayPortのブースを構え、このDockPortのお披露目を行っている。
DockPortのコネクタはMini DisplayPortと同じ形状で、DockPort規格はDisplayPortを下位互換でき、映像出力だけであれば既存のDisplayPortでも利用できる。データの通信プロトコルはUSB 3.0であり、したがってデータ転送速度はUSB 3.0と同じだという。Display Portのバージョンは1.2で、4K解像度60Hzの映像出力が可能だ。専用のドッキングステーションなどを用いれば4つまで出力画面を増やすこともできる。
コネクタ形状がMini DisplayPortであることも含め、Thuderbolt規格に非常に似通っている規格だが、Displayportブースの担当者の説明によれば、その最大の違いは安価なコストなのだそうだ。「データ転送がPCIeかUSBかもあるが、もっとも異なるのはDockPortはロイヤリティーフリーであること。コントローラチップはThunderboltよりも安く、余計なコストがかからない」とのことだ。
同規格はもともとAMDとVESA、Texas Instruments(TI)が開発しており、DisplayPortの"公式"の拡張規格だとアピールしている。なお、現在のコントローラチップはTIが製造しているそうだ。
気になるのは、コネクタがMini DisplayPort形状で、用途も同じなのに、互換性の無い別規格のインタフェースがあまり増えると、ユーザーが混乱してしまうのではないかという懸念だ。DockPort規格の最終策定は2014年の第2四半期を予定しているという。