きっかけは、些細なことだった。打ち合わせがてら喫茶店で珈琲を啜りながら、最近身体の調子が悪くて、いや自分なんかは四十肩で……と、ある意味オッサンらしい会話のなか、眼に関する話題になった。
「Kさん、視界のなかに"ミジンコピンピン"見えます? 眼を動かすとスッスッって動くアレ」と私。「あー、あれですね。飛蚊症。私はそんな呼び方はしていませんが」と編集者Kさん。筆者の周りの呼び名ではミジンコピンピンであったが、どうも呼び名は様々らしい。飛蚊症を契機に、あれは治らないだの、最近また視力が落ちてきただの、カメラのファインダーを覗いていてもピントが掴み辛いだの、お互いに自分の"くたびれ具合"を自慢し合うという、オッサン同士の会話で陥るしようも無い着地点にまっしぐらだ。
「ああ、そういえば」と編集者Kさん、「私も渡部さんも、眼鏡着用ですよね。最近話題に上ったブルーライトをカットするPC眼鏡、度付きを買うのもどうかと思うし、眼鏡on眼鏡と言う選択は……ありえないですよね」。確かに、我らアラフォー。オッサンではあるが、オッサンなりの妙なプライドがある。眼鏡にクリップ留めサングラス……。その選択肢を選ぶ頃には、退っ引きならない場所まで来てしまった感が否めない。ブルッと身震いしていた私に、スッとスマホを見せてくる編集者Kさん。
画面に映し出されていたのは、ソースネクストの「超ブルーライト削減」のWebサイト。「渡部さん、確かノートPCで作業していますよね。これなら、眼鏡の有無に関係なく効果が得られそうですが。どうです、試してみませんか?」。
編集部注:ブルーライトのカットによる効果には個人差があるようです。ついでに編集Kは自らをアラフォーであると認めておらず、オッサンでもないと主張しているようです。
何だか、上手く釈迦の掌で躍らされたようにも思えるがそれはそれ。疲れ眼なのは確かだし、これで眼精疲労が軽減されればしめたもの。早速試してみることにした……のだが。
「あー、これ! 眼に優しいんでしょ? ブルーライト削減ってことは」と、ひょいと「超ブルーライト削減」のパッケージを掴み、見やる妻。ああ、「私に使わせなさいよ」オーラが疲れ眼の私にも、いや疲れ眼だからこそ見えるのかもしれないが、「使ってみてごらん」という選択肢を選ばなきゃいけない情況が、そこにある。
斯くして、妻のノートPCに「超ブルーライト削減」がインストールされた。操作方法もカンタンで、ブルーライト削減の効果をスライダーで調節するのみとシンプル。実際に効果のアリ・ナシで見比べてみると、輝度が下がりつつ若干アンバーがかった色調に見える。この見え方は、ブルーライトをカットするPC眼鏡と似ているが、モニターだけ優しい色調になるのでPC眼鏡よりも違和感がないかもしれない。妻曰く「刺々しい眩しさがグッと抑えられて良い感じ。最初はちょっと暗いかな、と感じるけど慣れるとちょうどいい」とのこと。感じ方に個人差はつきものだが、製品Webサイトによれば、フィルタ濃度50%の平均値で約39%、フィルタ最大濃度の平均値で約62%ものブルーライト削減効果があるのだとか。本人も、気の持ちようかもしれないけれどと断りを入れた上で「使い始めてみて目薬を差す回数や目許を揉む回数は減った」と、その効果を実感している様子。
また、効果のオン・オフをクリックひとつで切り替え可能なのもポイント。原稿を書く際には効果をオンに、写真の整理など色味が重要な時はオフにと、作業内容によって使い分けられるのは嬉しい限りだ。
しかも、この「超ブルーライト削減」。Android端末(Android OS 2.2~4.4)にも対応しており、普段持ち歩くスマホやタブレットでのブルーライト削減効果はもちろん、のぞき見防止フィルタ機能まで有している。私が使用しているAndroidタブレットにも、専用ツール「ソースネクストApps」をインストール後導入してみたのだが、その優しい色味には普段のパキッとした明るさが及ぼす刺激が抑えられているように思う。
正直、その効果の程は半信半疑だったのだが、眼が「超ブルーライト削減」のフィルタに慣れれば慣れるほど「コレはアリだ」と感じさせてくれた。とくに、私のような眼鏡使用者には、度付きのPC眼鏡を購入するというコストや手間を考慮すれば、安価だし手間いらずでもってこいの製品だと思う。「で、肩こりはラクになったか?」と問われれば、本音を申せば相も変わらずバリバリな状態。しかし、これは作業中の姿勢に因るところが大きいので致し方なし、だ。
フィルタひとつで眼の疲労が軽減され、"くたびれ具合"がひとつ解消に向かった2013年師走。2014年は作業環境そのものを見直して、真に快適なPCデスク周りを創り上げることを目標にしよう……と、心に密かに思いつつ除夜の鐘を聴く私であった。