JR西日本はこのほど、大阪環状線の魅力向上に向けて今後展開する「大阪環状線改造プロジェクト」の概要を発表した。

来年3月オープン予定の「ビエラ玉造」。大阪環状線のオレンジ色の車両を模したデザインとなっている

大阪環状線は全19駅のうち13駅が他の鉄道路線と結節し、大阪の都市交通ネットワークの要となっていることに加え、沿線の梅田地区や阿倍野地区などで大型商業施設が相次いで開業。沿線を取り巻く環境が大きく変化しつつあることから、さまざまな取組みを通じて線区全体のイメージアップを図り、大阪全体の活性化を図る。プロジェクトの柱は、「安全快適な駅づくり」「駅構内および高架下の開発・リニューアル」「車両新製」「地域や他交通事業者との連携」など。

「安全快適な駅づくり」では、第1弾として森ノ宮駅をリニューアル。ホームや改札内コンコースの改良に加え、各種安全対策や照明のLED化、案内設備の充実などを行う。それ以降も順次各駅の美装・改良を進め、2017年度末までに全駅を完了する。とくにトイレの改良を重点的に進めるとしており、各駅で換気機能の強化、便器洋式化・温水洗浄便座化、子育て世代に優しい各種設備の充実、照明LED化などを行う。トイレの改良は2016年度末までに先行して終える予定だという。

「駅構内および高架下の開発・リニューアル」は、各駅やエリアごとの特性やニーズに合わせた開発を行う取組み。2014年3月には、玉造駅周辺開発の一環として、保育園やフィットネスクラブなどが入居する商業施設「ビエラ玉造」がオープン。すでに開業しているスーパー、クリニックビルと合わせ、「ビエラタウン玉造」がグランドオープンを迎える。桃谷駅でも2016年上期を目途に、駅・駅構内・高架下などが一体となった店舗開発を進める。来年4月に閉館する交通科学博物館の跡地利用についても、広域からの集客を視野に入れた駅整備との一体開発を検討する。

「車両新製」は、鉄道機能の向上による満足度アップを図るのが目的。2017年度までの導入をめざすという。「地域や他交通事業者との連携」への取組みでは、案内表示の改善や大規模災害などの異常時対応において、大阪市交通局と連携することがすでに決定しているとのこと。今後は他の結節する鉄道事業者とも案内表示の連携などを検討していく。高架下や高架橋柱などの鉄道施設の美化についても、沿線地域の住民と協力し合い、街の美観促進や魅力発信に努めるとしている。