LGエレクトロニクスは20日、湾曲ディスプレイを採用した6インチのスマートフォン「LG G Flex」を国内メディアに向けて公開した。韓国ではすでに11月中旬に発売が開始されている同端末。日本国内での発売に関しては、今のところ「未定」とのことだ。

LG G Flex

なぜ曲げた? 湾曲ボディの利点とは

LG G Flexは、ボディ全体が弧を描くように曲がっているのが最大の特徴。なぜ曲げる必要があったのだろうか。実はこれにより、様々な利点が考えられるというのだ。都内で詳しい説明を聞くことができた。

ひとつは通話がしやすくなること。一般的に、ディスプレイが大型化するとスピーカーを耳に当てたときにマイクが遠ざかってしまう。このため通話がしにくくなる、というのがこれまでの常識だった。しかしLG G Flexはボディが曲がっているためマイクが口元にくる。ひいては通話がしやすくなるというのだ。

LG G Flexは6インチの大型スマホながら、ボディの湾曲が顔のラインに沿うこともあり通話がしやすい。固定電話の受話器の形に近づいた、と言えるだろうか

LGがもっとも強くアピールするのが動画視聴の際のメリットで、これが端末開発の発端にもなっている。具体的には、ディスプレイを曲げることでユーザーは動画コンテンツに没入できる。また画面に奥行きが出るため、劇場のような臨場感を味わうことができるとのことだ。

現在、グローバルではスマートフォンのディスプレイが大型化する傾向にある。他方、動画コンテンツを配信するサービスが多様化しつつある。こうした背景から、市場では「画面の大きなスマホで快適に動画を視聴したい」というニーズが高まりつつある。そこでLGでは動画の視聴に最適なスマートフォンを追求した。その結果が、湾曲ディスプレイの6インチスマートフォンLG G Flexの誕生につながったのだという。

動画コンテンツに没入できるのが、湾曲ディスプレイの大きな魅力となっている

このほか背面が丸みを帯びているため、手にもよくなじむ。また指とディスプレイの距離を一定に保てるため文字入力がしやすく、フリックなどによるWebサイトのページ遷移もやりやすいという。

曲がっているため負荷に弱い? 耐久性について解説

気になるのが耐久性だが、通常のスマートフォンと同程度に頑丈にできている。「曲がっているため負荷に弱い」ということは決してないという。LG G Flexが耐えられる荷重は、公表値では「40kg」。裏話として、工場ではそれ以上の荷重で実験しているが問題はないそうだ。したがって、お尻のポケットに入れても安心だろう。ただ、ストレートタイプのスマートフォンに比べ、湾曲した背面の中央部に傷がつきやすい。このため、塗装にはとある工夫を凝らしている。

32kgの荷重を加える実験の模様(写真右)。参考になるか分からないが、成人の男性が使用するボーリングの球の重さは、だいたい7kg前後である

それは「Self Healing(セルフヒーリング)」と呼ばれる特殊な塗料を使うというもの。これにより日常的に使用している中で自然についてしまう擦り傷程度なら、自然に回復できるという。すでに自動車やノートPCなどの製品の一部には利用されている。ただ、スマートフォンに応用したのは「おそらく初めて」(担当者)とのことだった。

Self Healingにより、日常使いでついてしまった細かな傷程度なら自然に回復できる

曲がり具合は「700R」がベスト?

LGでは、6インチ端末に最適なカーブの度合いを200種類ほど試したという。その結果、「700R」という曲がり方がベストという結論に至った。ディスプレイを曲げる技術については、実は前々からクリアできていた。