JR東海はこのほど、在来線の一部列車に取り付けていた衝撃緩和装置の試行実績を公表した。近年多発している鹿との衝突による列車の遅延や車両の破損、復旧に要する人的な負担などを軽減するために開発されたスポンジゴム製のクッションで、走行時、車両の前面下部の排障器をさらに覆うように取り付けて使用している。
同社は昨年5月から、紀勢本線などを走る特急「(ワイドビュー)南紀」(キハ85系)の先頭車6両に同装置を取り付け、効果検証を行ってきた。
このほど公表された集計によると、昨年7月から今年11月までの試行期間中、鹿を線路外へ押しのける割合は非設置車両と比較して約13%向上。運転再開までに要する時間も非設置車両と比較して平均約3分短縮された。装置を設置していない車両では、衝突による30分以上の遅延が6件発生したが、設置車両では1件にとどまったという。
こうした結果を受けて、JR東海では2014~2015年度に高山本線、太多線、紀勢本線、参宮線に順次投入するキハ25形2次車52両でも、同様の衝撃緩和装置を取り付ける計画だ。