2013年10月に決定した消費税8%への増税。2014年4月には17年振りに消費税が引き上げられることになり、家計に大打撃を与えることが予想される。家計の再点検を始めている人も多いだろうが、その際に、見直し項目の1つとして推奨したいのが、"スマートフォンの月額利用料"だ。

ここでマイナビニュースが実施した「スマホ利用料」に関するアンケートの結果をみてみよう。アンケートは、12月6日~8日の期間、マイナビニュースの会員500人を対象に実施した。

スマホ料金は「6,000円~8,000円未満」が最多、4人家族だと3万円近くにも

まず、「現在のスマートフォンの利用料金はいくらですか?」との質問に対し、最も多かったのが「6,000円~8,000円未満」で35.0%。次いで「4,000円~6,000円未満」(27.8%)、「8,000円~10,000円未満」(15.8%)、「2,000円~4,000円未満」(7.8%)、「1万円以上」(6.8%)「2,000円未満」(同)が続く結果となった。

「現在のスマートフォンの利用料金はいくらですか?」

この結果について、節約アドバイザーの矢野きくの氏は、「スマートフォン料金が家計の負担になっているのは事実です。従来は2,000円~3,000円ぐらいだった携帯電話の料金は、すでに6,000円ぐらいになっています」と、アンケート結果が矢野氏が把握している現在の状況と合致していることを指摘。「家族が一人ひとりスマートフォンを持っているとすれば、4人家族ならば2~3万円になることもあります」と話す。「家族割」によって一人約1,000円割引になっているケースも多いというが、それでも家計への負担は大きい。

また矢野氏は、「スマートフォン料金は基本料金と通話料から成り立っていますが、通話料は使っている人とあまり使っていない人の差が大きい」と指摘。使っている人は1万円以上使っている人もいるというが、「スマートフォンはお金がかかるから仕方がない」「料金体系が複雑で分かりにくい」などの理由で、通話料の節約方法をあえて調べない人が多いという。

スマホ料金の落とし穴「LTEプラン」、料金が高くなることをしらない人は6割

さらに、最新のスマートフォンには1つ大きな落とし穴がある。それが、「LTEプラン」だ。アイ・エム・ジェイによる「ガラケーユーザーの利用実態調査」によると、フィーチャーフォン(ガラケー)ユーザーの月額支払料金で最も多いのは、2,000~4,000円。 そして、月額支払料金は4,862円に上る。一方、総務省の通信統計データベースによると、LTEプランを利用しているユーザーの月額支払料金は7,564円。つまり、LTEスマホに機種変すると、平均で約2,702円も月額コストがアップしてしまう。さらに年間では、2,702円×12カ月=平均3万2,424円も支払金額が値上がりすることになるのだ。

高速通信のできるLTE回線に対応した各社の最新スマートフォンでは、音声通話にLTE回線用のプランが用意されている。 3G回線のフィーチャーフォンやスマートフォンから機種変更する場合、料金プランが変わってしまう。 しかし、この「LTEプラン」が落とし穴なのである。キャリアによってLTEプランでは、3G回線の通話プランのような、無料通話分などがなく、また、通話量に応じた割引プランなどが用意されていないのだ。

マイナビニュースで実施したアンケートで、「現在のスマートフォンは『LTEプラン』ですか?」と尋ねたところ、「はい」が46.2%、「いいえ」が53.8%で、すでにLTEプランになっている人は4割近くいる。「はい」と回答した人に、「『LTEプラン』への移行によって、利用料金が高くなりましたか?」と質問したところ、半数近くの47.6%が「高くなった」と回答している。

「現在のスマートフォンは『LTEプラン』ですか?」

「『LTEプラン』への移行によって、利用料金が高くなりましたか?」

また、「『LTEプラン』への移行によって、利用料金が高くなる場合があることはご存知ですか?」との問いには、60.2%の人が「知らない」と回答している。

「『LTEプラン』への移行によって、利用料金が高くなる場合があることはご存知ですか?」

このアンケート結果を見ると、LTEプランになって料金が高くなった人が4割以上いる一方、LTEプランへの移行によってスマホ料金が高くなる場合があることを知らない人が6割もいることが分かった。

節約アドバイザーの矢野氏は、LTEプランへの移行によってスマホ料金が高くなっていても、気づかない人がいる可能性を指摘。「機種変更や新規契約の時に本体代を分割して支払ったり、24カ月契約などの場合値引きされることなどがあるからです」と説明する。

スマホ料金を節約するなら「通話料」に注目! 「IP電話アプリ」の活用を

では、スマホ料金が高くなっていることに気づくためにはどうすればいいのか? 矢野氏は、「携帯電話のキャリアから来る明細を見ない人が多いので、まず料金明細を見るを見ることが大切です。その上で、通信料と通話料がいくらぐらいかかっているのか、把握する必要があります」と話す。

矢野氏によれば、通信料はパケット定額などになっている場合が多く、料金を減らすのは難しいとみる。この場合、無制限でなく、あまり使わないプランを選択することで通信料を抑えることができる。

一方、矢野氏は「通話料」は節約できる可能性が高いと指摘。矢野氏が推薦するのは、IP電話アプリだ。「せっかくスマホを使っているのであればIP電話アプリを有効利用することで、大幅な通話料の節約につながります」。

では、IP電話アプリとはどんなものなのか。IP電話はデータ通信網を利用して、音声通話を行う仕組みとなっている。このため、IP電話アプリを利用すると通常のスマートフォンの通話料金(21円/30秒)よりも、安く利用できる。ただ、データ通信品質の影響を受けるため、Wi-Fi環境やLTE回線を掴んでいる場面では安定して通話できるが、データ通信が混んでいるエリアでは通信品質が通常の音声回線と比べて劣ることもある。IP電話については、現在、大ブームとなっているLINEをはじめとして多くのアプリが登場している。

ここでマイナビニュースで実施したアンケートを見てみる。「『IP電話アプリ』を使っていますか?」との質問には、「使っている」が39.6%、「使っていない」が60.4%。さらに、「現在利用しているアプリに不満はありますか?」と聞いたところ、「音声が悪い」が66.7%、「セキュリティに不安がある」が28.8%、「固定電話にかけられない」が16.7%だった。

「『IP電話アプリ』を使っていますか?」

「現在利用しているアプリに不満はありますか?」

固定電話によく電話をかける人には「050 plus」がオススメ

こうした結果を踏まえ、主要なIP電話アプリの特徴と通話料金、メリット、デメリットを比較してみる。

まず紹介するのはLINEが提供する無料通話アプリ「LINE(リアルタイムのコミュニケーションを行うためのインスタントメッセンジャーアプリ)」。月額固定料金は無料で、メッセンジャーソフトとして絶大なシェアを誇る。しかし、LINE通話はアプリ間のみで固定電話や携帯電話にはかけられない。

続いて紹介したいのが「050 plus」。月額固定料金315円が必要だが、提携プロバイダ(300万契約以上)のIP電話と無料で通話できる。また、LINEなどと違って固定電話にも電話をかけられることができ、固定電話への通話料も8.4円/3分と圧倒的に安い。

「050 plus」にはさらなる利点がある。固定電話にかける場合だけでなく、携帯(スマホ)にかける場合(キャリア間通話)においても、LTEプランに移行したスマホから携帯(スマホ)に電話をかける場合は1分42円であるのに対し、「050 plus」から携帯(スマホ)にかける場合は1分16.8円と、通話料が半額以下になるのだ。

最後はフュージョン・コミュニケーションズが提供する「IP-Phone SMART」。月額固定料金は無料で、留守番電話機能も無料で利用できる。ただ、固定電話や携帯電話への通話料が8.4円/30秒(50.4円/3分)と高いのが難点といえる。

IP電話アプリ 一覧表

矢野氏のお勧めは050 plus。「LINEを使っている人同士であれば、通話もLINEが便利かもしれませんが、相手が使っていなければ通話することもできません。同じ通話アプリでも、050 plusであれば、相手が使っていなくても通話料を抑えることができるのでオススメです。通話料を抑えてくれるIP電話アプリを上手に使い分けることでスマホの月額利用料も節約できます」。

また、「会社や自宅の固定電話にかける機会が多い人や、主婦の方など、自分の実家や昔の友人の固定電話にかける機会が多い人にもオススメです。ある程度の頻度で通話する人にとっては、『050 plus』を使うことで、確実に通話料を減らすことができます」と話す。

「050 plus」と「格安SIMカード」の組み合わせでさらに"低コスト化"を実現

では、050 plusについてもう少し詳しく見てみよう。同アプリは、海外でもインターネットに接続さえしていれば、国内利用時と同じ通信料で利用できる。ただし、海外でスマートフォンを利用する場合、データ定額の対象にならない場合や、高額なデータ通信量がかかる場合があるため注意が必要だ。

電話番号については、10番号からの選択、もしくは、下4桁を指定することができる(050 plusから発信すると、着信先には050 plusの電話番号が表示される)。無料の留守番電話機能も用意し、最大90秒のメッセージを20件、蓄積することが可能。保存期間は168時間(7日間)。さらに、留守番メッセージを音声ファイルとしてメールに添付して届けることもできる。なお、キャッチホン機能は搭載しない。

050 plusを利用して、さらに月額利用料の低コスト化を実現できる方法がある。それは、リテラシーの高い上級者が注目している「IP電話アプリ」と「格安SIMカード」の組み合わせ。パケット代を節約できる「格安SIMカード(MVNO)」は、SIMロックフリー端末で利用でき、通常なら月額5,000円を超すデータ通信料を大幅に安くすることができる。

ただし、このSIMカードはデータ通信のみの対応で音声通話には非対応となるため、データ通信網を利用して音声通話ができるIP通話アプリを組み合わせることで、格安で通話することが可能になる。例えば、050 plusに格安SIMカード「OCNモバイルONE」を組み合わせた場合、050 plusの月額基本料315円+格安IP通話料金とOCNモバイルONEの月額料金980円~を合わせた料金となる。

月々約3,000円、年間で3万円以上削減することも可能!

いかがだろうか? IP電話アプリを上手く使用すれば、スマートフォンの利用料金を月々約3,000円、年間で3万円以上削減することもできるという。矢野氏は、「スマホ料金をちょっと見直すことで、消費税の増税分ぐらいは取り戻すことができます。050 plusであれば一度契約するだけで節約することができますので、手のかからない節約といえます」と話す。スマホユーザーにとっては大変お得になるこの情報、ぜひ活用してほしい。


矢野 きくの(節約アドバイザー・家事アドバイザー)

テレビ、講演、コラム連載などで活躍。 手間をかけずにお金を節約できる方法や、 家事の効率化を提案。