あしなが育英会はこのほど、高校奨学生の全保護者を対象に実施した緊急アンケート調査の結果を発表した。それによると、卒業後に就職を希望している高校生のうち、半数が経済的な理由や家計支援のために進学を断念したことがわかった。

同調査は、2013年11月に郵送にて行われ、2,273人から有効回答を得た。

それによると、調査時点「失業中」の保護者は9.8%で全国の失業率の2.6倍。このほか、「就業中」は74.7%、「無職」は13.6%となった。就業形態は、「非正規雇用」が57.7%、「正規雇用」が30.8%。就業中の保護者の14.7%が「仕事をかけもち」しており、10月の月給(手取り額)の平均額は13万7,682円だった。

子どもの教育費が「不足している」と答えた割合は66.5%。一方、「足りている」は15.5%だった。就学中の子供の数別に見た場合、「不足している」とした割合は、3人以上で72.9%、2人で72.0%、1人で57.4%となり、3人以上と1人では15.5ポイントの差があった。

子どもの高校卒業後の進路希望を尋ねたところ、「大学・短大進学」は39.2%、「就職」は26.9%、「専門学校進学」は17.8%。2011年の前回調査と比べた場合、「大学進学」希望は1.8ポイント減っており、中でも首都圏では6.7ポイント、関東では4.3ポイント減少していた。

「就職」と答えた割合を世帯構成別に見ると、両親のいない世帯で35.0%、障害者世帯で27.0%、母子世帯で26.5%、父子世帯で23.7%と、両親のいない世帯と父子世帯では11.3ポイントの差が付いた。

就職希望の理由を聞くと、「進学したいが経済的にできない」の39.5%、「進学したいが家計を助けなければならない」の13.4%と合わせると、「経済的な理由や家計支援のための進学断念」が52.9%となり、前回より13.2ポイント増加。一方、「早く就職して自立したい」は32.4%で、前回より8.0ポイント減少した。

就職を希望する主な理由【ベース:卒業後に就職希望者】(出典:あしなが育英会Webサイト)

教育費不足のため、「学習塾に通わせることができなかった」のは42.2%、「進路変更」は32.5%(「家計のため」23.4%、「弟や妹のため」9.1%)、「進学断念」は18.8%(「家計支援のため」12.5%、「弟や妹のため」6.3%)だった。

奨学金については、 「無利子奨学金制度枠の拡大」や 「給付型奨学金制度」を望む保護者がともに4割を占め、国による早急な対策が求められる。

消費増税の家計への不安を「非常に感じる」は80.2%、「ある程度感じる」は16.8%で、計97.9%。2013年9月のNHK世論調査では「非常に感じる」は24%で、それと比べると3.3倍に上った。

心の問題については、「不登校や登校をいやがった」子どもが29.2%となったほか、保護者の心の状態も悪化しており、親子ともに精神的にも追い込まれている状況が明らかになった。