サードウェーブデジノスは17日、米3D Systemsと第一次代理店契約を締結し、日本国内での3Dプリンタ販売事業を開始すると発表した。同社経由、ドスパラ経由、パートナー契約を結んだ販売代理店経由の3つのルートで、米3D Systemsの企業向け、個人向け3Dプリンタを販売する。

サードウェーブデジノス 取締役社長 松野康雄氏

同日に開催された報道関係者向けの説明会では、まず初めにサードウェーブデジノス 取締役社長 松野康雄氏が登壇した。松野氏は「3Dプリンタはすでに世界的な話題になっており、欧米などでは多くのベンチャー支援を国が行っている」と説明。一方、日本においても「成長戦略の核として助成金や法整備がすすめられている」とし、「こうした状況の中で3Dプリンタは第4次産業革命を起こすのではないかとワクワクしながら業界に参入した」と語った。

サードウェーブデジノス 甲斐元浩氏

次に登壇したサードウェーブデジノスの甲斐元浩氏は、PCメーカーである同社が3Dプリンタに参入した理由について3つの理由を説明した。1つ目は3Dプリンタが新しい産業構造を作りだす装置であること。2つ目は同社の既存ユーザー層が、3Dプリンタの潜在顧客層にマッチしていること。3つ目は同社が日本において3Dプリンタを普及させる土壌作りを行えると思ったことだ。

サードウェーブデジノスはPC関連商品の製造および流通を行ってきた企業であり、主な利用者はPCユーザーとなっている。甲斐氏は「コンシューマ向けの小型3Dプリンタは新しいデバイス。サードウェーブの顧客層は、こうした新しいものに対して興味を持つユーザーが多いのではないか」と語った。

サードウェーブデジノスが3Dプリンタ事業に参入した3つの理由

3Dプリンタの出荷台数/出荷金額をみると、2012年度の出荷額は95億程度であったが、2013年見込みでは前年度比150%以上の140億程度となり、2014年には200億円を超えると予想されている。中でも新たな需要層として、最も伸びているのは学校や教育機関などで、続いて一般消費層に向けた低価格製品の需要が伸びている。

3Dプリンタ市場における出荷台数/出荷金額の推移

こうした急速な市場拡大の一因となっているのは日本政府による中小企業支援策だと甲斐氏は語る。3Dプリンタを含んだ中小企業支援策として、2013年には「ものづくり補助金」といわれる試作開発に向けた助成制度が約1万社に適用され、2014年12月4日には先端技術の設備導入に関する援助を行う「産業競争力強化法」が成立されるなど、政府が3Dプリンタの普及を強くバックアップしている。サードウェーブデジノスは、こうした追い風の中で企業向け/個人向けの3Dプリンタを販売し、日本において3Dプリンタ普及の土壌作りを行う考えだ。

3Dプリンタを取り巻く国内情勢

同社は16万円より購入できる個人向けから、3,000万円以上の企業向け製品まで様々な3Dプリンタを取り扱う。個人向け製品としてはエントリーモデルの小型3Dプリンタ「Cube」および「Cube X」シリーズ、企業向けには世界唯一のフルカラー3Dプリンタとなる「ProJet x60」シリーズを販売。さらに、来春をめどに新製品としてProJet x60の後継となる「ProJet 4500」を発売する予定だ。

「Cube」および「Cube X」シリーズ

「ProJet x60」シリーズ

「ProJet 4500」

米3D Systems製の3Dプリンタは、これまでもデルなど様々な企業で取り扱いがあったが、サードウェーブデジノスではより快適に3Dプリンタを利用できるよう、データ作成からプリント環境の構築、ネットワークの構築まで、ユーザーの用途にあわせた一括ソリューションを提供する。

米3D Systems代理店としてのサードウェーブデジノスの特徴

また、企業向けモデルについてはメーカー認定エンジニアによるサポート体制を確立し、個人向けについてもトレーニングを受けたエンジニアによるサポートと修理に対応する。さらに同社が運営する「ドスパラ」全国6店舗にて3Dプリンタの店頭展示およびトレーニングを受けたスタッフの配置を行う。該当店舗については、近日中に発表する予定だ。

このほか、発表会では米3D Systemsの日本法人であるスリーディー・システムズ・ジャパンの宇野博氏が登壇。3Dプリンタによる製造業の復活を論じたクリス・アンダーソン著の書籍「MAKERS」や、自分にそっくりのフィギュアを作成できる写真館「OMOTE 3D SHASHIN KAN」などを紹介し、3Dプリンタの盛り上がりを語った。

「MAKER」や「OMOTE 3D SHASHIN KAN」を例に3Dプリンタ市場の盛り上がりを語った

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