日本貿易振興機構(JETRO)は12日、2013年版「在アジア・オセアニア日系企業実態調査」の結果を発表した。
同調査では、2013年10月8日~11月15日の期間に、北東アジア5カ国・地域、ASEAN9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケートを実施し、4,561社から有効回答を得た。
それによると、2013年の営業利益(見込み)を「黒字」とした企業の割合は64.6%で、前年の63.9%からほぼ横ばい。国・地域別に見ると、台湾が81.8%で最も高く、次いで、パキスタンの74.1%、韓国の73.8%、香港・マカオの72.6%、タイの72.4%となった。一方、パキスタンを除く南西アジア各国やCLM諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)では、赤字企業の割合が高かった。
企業規模別に見た場合、大企業では69.4%が黒字で、中小企業の56.2%を13.2ポイント上回った。
2014年の見通しについては、営業利益が「改善」すると答えた企業は50.6%。それに対して「悪化」するとした企業は10.7%で、2013年見込みの27.0%から16.3ポイント減少した。
2014年のDI値(営業利益が前年比で「改善」した割合から「悪化」した割合を引いた数値)は39.9ポイントと、2013年見込みと比べて23.9ポイント上昇。改善の理由は「現地市場での売上増加」が最も多かった。特にカンボジア、パキスタン、バングラデシュ、ミャンマーなどの新興国ではDI値が60ポイントを上回り、景況感は大幅に改善する見通しだ。
経営上の問題点については、「従業員の賃金上昇」が全体の70.9%と最も多く、中でもインドネシア(87.5%)、中国(85.3%)では8割を超えた。次いで、「競合相手の台頭(コスト面で競合)」の53.2%、「現地人材の能力・意識」の52.6%、「従業員の質」の46.6%となった。
今後1~2年の事業展開の方向性について聞くと、「拡大」と回答した企業は前年比2.0ポイント増の59.8%。国・地域別に見ると、ミャンマーが最多の84.6%で、以下、パキスタンの81.5%、カンボジアの80.0%と続いた。理由としては、「売上の増加」や「成長性、潜在力の高さ」などが挙げられた。
中国で「拡大」と答えた企業は54.2%で、前年比1.9ポイント増加(前年調査時は14.5ポイント減少)。一方、インドネシアでは同10.9ポイント減の66.4%と、全調査対象国・地域の中で最大の減少幅となった。
製造コストに占める人件費の割合は平均17.2%だったのに対し、材料費の割合は平均61.2%。今後、「現地調達率を引き上げる」との方針を示した企業は全体の74.8%に上った。