国際労働機関(ILO)は11日、オンライン統計データベース「主要労働市場指標(KILM)」の2013年版を発表した。

それによると、世界が金融・経済危機に陥った2008年以前と比べて、幾つかの国で失業期間の長期化が見られることがわかった。例えば、スペイン、英国、米国、セルビア、ブルガリアでは、6カ月以上の長期失業者が2008年の1.4倍以上に増加していた。

また、失業率が同程度の国でも、労働市場の趨勢には大きな違いがあることが判明。1970~2013年の期間に、6.3%前後の失業率で推移してきたドイツと米国を比較したところ、失業期間は平均して米国の方が短くなっていたほか、1991年以降、ドイツより約30%高い失業率を記録してきたフランスでも、失業期間はドイツより短くなっていた。

技能ミスマッチ水準(市場が求める技能と労働者が有する技能の差)について見ると、途上国では2012年に平均17.1%と高い数値を示した。先進国における資格が高すぎて仕事が得られない人の割合は、2010年に平均10.1%(2008年8.5%)。反対に、資格が低すぎて仕事が得られない人の割合は、2010年に平均28.1%(同31.0%)に上った。

このほか、働く貧困層の減少傾向と中流階級の世界的な台頭の趨勢についても指摘。途上国では、働く貧困層が労働力全体の30.6%に当たる8億2,200万人を数えるが、中流階級も1990年代末からほぼ倍増し、現在は被用者全体の32%を占めるようになったという。