この秋、パワーユーザーの間で注目のアイテムとなっているのが、NVIDIAのハイエンドGPU「GeForce GTX 780 Ti」を搭載するグラフィックスカードだ。これを採用したゲーマー向けPC「NEXTGEAR i630PA3-SP」(販売価格219,870円)が、マウスコンピューターのゲーミング製品ブランド・G-Tuneから登場している。

GeForce GTX 780 Tiを搭載した「NEXTGEAR i630PA3-SP」と、iiyamaディスプレイの新製品「ProLite XB2779QS」

今回はこの製品の実機に触れることができたので、これまでのハイエンドPCの限界を超えるグラフィックス性能とはいかほどのものなのかを試してみよう。また、iiyamaブランドから発売された27型の高解像度ディスプレイ「ProLite XB2779QS」もあわせて試用できたので、こちらも詳しくチェックする。

新たなNVIDIA最上位GPU「GeForce GTX 780 Ti」

GeForce GTX 780 Tiの登場以前、NVIDIA製GPUの最上位モデルには「GeForce GTX Titan」があった。極めて高いグラフィック性能を要求される海外のFPSゲームなども、最高の描画設定で楽しみたいという"超"ハイエンドユーザーのためのGPUとして、2013年2月の発売以来ラインナップの最上位に君臨してきたが、登場時のグラフィックスカードの価格は13万円以上と、値付けも含めてスペシャルモデルというべき製品だった。

今回のGeForce GTX 780 Tiは、そのGTX Titanに使われていたのと同じ「GK110」(開発コードネーム)コアを採用している。このため、もちろんハイスペックで高価なGPUであることは変わらないのだが、飛び抜けたスペシャルモデルというよりは、名称からもわかる通りGTX 780の上位モデルという位置付けの価格設定になっている。

Titanより低価格を実現しながら性能はさらにアップした「GeForce GTX 780 Ti」

一方、性能面では強化が図られており、GTX Titanで2688基/224基だったCUDAコア/テクスチャユニット数は、GTX 780 Tiではそれぞれ2880基/240基へ、同様に動作周波数は836MHz(ブースト時は公称876MHz)から875MHz(同928MHz)へと引き上げられている。メモリ容量などごく一部のスペックはGTX Titanのほうが上回っているが、ほとんどのゲームではGTX 780 Tiのほうが高い性能を発揮することが期待される。安い買い物ではないが、価格を下げながらの性能アップということで、ハイエンドモデルながらコストパフォーマンスも上がっているのだ。実際の性能については、次ページのベンチマークテストの結果を参照してほしい。

27型WQHDのスタイリッシュ液晶「ProLite XB2779QS」

そして、今回のもう一つの注目製品がiiyamaのProLite XB2779QS。ワイドクアッドHD(WQHD・2560×1440ドット)という高解像度の表示に対応した、27型の大画面液晶ディスプレイである。

PCのベテランユーザーなら、ブラウン管時代から続く「iiyama」というブランドを耳にしたとき、堅実な仕様かつ値頃感のあるもの作りをするメーカー、といったイメージを抱くのではないだろうか。確かにそのような、どちらかといえば手堅い印象の製品が中心のiiyamaだが、今回のXB2779QSはいい意味でそのイメージを覆すものになっている。

ベゼルフリーのフラットなデザインが印象的な「ProLite XB2779QS」

27型という画面サイズ以上にまず印象的なのが、額縁部分までまったく段差がない、1枚のフラットなプレートとして見えるパネル部分だ。タッチ操作機能は持たないため、表面の素材はガラスではないのだが、表示領域の外側まで完全に平坦な形状となっているので一見ガラスのようにも見える。また、本体の厚さは中央から画面の周囲へ近づくに従って薄く絞り込まれており、最薄部は6.5mm。この形状により、斜め横から見たときもあまり厚みを感じさせず、設置場所付近のインテリアにも溶け込みやすいデザインを実現している。見た目だけではなく実際の重量も抑えられており、27型ディスプレイとしては軽量な8.2kg(スタンド部込み)となっている。

表示部と額縁部の間にあった段差がなくなったことで、よりシンプルで空間に溶け込みやすいデザインとなった

そして、実際に使って便利なのが2560×1440ドットの広大な画面だ。27型クラスの大画面ディスプレイでも、解像度がフルHD(1920×1080ドット)に留まっている製品は少なくない。もちろんそのような製品にも画面が大きい割に安いというメリットはあるが、最近ではスマートフォンやタブレットなどで極めて精細なディスプレイの採用が進んでおり、本来ハイスペックであるはずのPCのほうがドットが荒いという逆転現象が生まれている。このことから27型のような大きな画面を使用する場合、迫力はあるものの、フルHDだと写真や細かい文字などを表示したときに、もう一つ精細さが欲しいと感じることがあるのも確かだ。

XB2779QSの持つ2560×1440ドットの高解像度パネルなら、精細感の面で不満を感じることはまずないと考えられる。また、フルHDに比べて約1.78倍のドット数となるため、当然のことながら1画面に表示できる情報量は格段に多い。WordやExcelなどで作業を行うときはもちろん、ブラウザでWebサイトを見るだけのときも操作性が大きくアップし、PCを使う場合の全般的な快適性が増すだろう。

WQHD解像度でWindows 8.1のスタート画面とデスクトップを表示した様子。これだけ画面を広々と使うことができる

パネルの駆動方式は視野角と色彩に優れるAH-IPS。上下左右178°という広い視野角を活かすため、スタンドには画面を左右各45°まで回転させられるスイーベル機能が用意されているほか、画面上部を後方に17°まで傾けられるチルト機能も装備。また、スタンド背面のボタンを押してロックを解除すると、画面全体の高さを上下130mmの範囲で調整可能となる。ディスプレイの向きや位置は長時間作業するときの疲労度にも影響するので、見栄えがいいだけでなく調整機能にも優れた設計となっている点はメリットが大きい。

左右各45°のスイーベル、後方17°のチルトが可能なスタンド

ロック解除ボタンを押すと画面の高さが上下130mm可動となる

入力端子はアナログRGB、DVI、HDMIに加えDisplayPortも装備

出力2W×2のステレオスピーカーを内蔵しており、HDMIまたはDisplayPortで接続した場合はサウンド出力デバイスとしても認識される