感染力の強いインフルエンザでは適切な対応が求められる

健康日本21推進フォーラムは、0~15歳の子供を持つ母親2,000人と20~60代の男女600人の計2,600人を対象に、「インフルエンザに関する調査」を実施。母親と一般成人ではインフルエンザに対する不安感の違いがあることや、母親が求める治療の実態が判明した。

母親の9割以上が予防策を実施

インフルエンザに対する不安を聞いたところ、母親では64.9%がインフルエンザに不安を感じており、「非常に不安を感じている」と答えた人は3人に1人(33.2%)であった。特に3歳以下の子供を持つ母親で「非常に不安を感じている」人が多い傾向がある。一方で、一般成人でインフルエンザに不安を感じている人は39.2%にとどまった。

母親における予防対策は、「予防接種をした」(53.9%)、「帰宅時にうがいをした」(53.5%)が上位に並び、9割以上が何らかの予防対策を行っている。しかし、一般成人では「特にしなかった」が4人に1人(26.3%)となっている。

インフルエンザに対する予防。左が母親2,000人、右が一般成人600人

インフルエンザ感染時の状況を聞いたところ、母親では「症状が治まっても外へは出さず家の中で自由に過ごさせた」が49.7%、「症状が治まっても外へは出さず家の中で安静にさせた」が42.2%と、大半が家の中で過ごすことを選択している。また、通園・通学においても、2012年4月1日に一部改正された「学校保健安全法」を遵守し、インフルエンザの流行防止に寄与する姿勢が見られた。

一方で、一般成人では 17.2%が「症状がないので、ふだん通りに通学・通勤していた」と回答するなど、第三者への感染の可能性がある状況で、勝手な自己判断で通学・通勤を開始している人もいることが分かった。

インフルエンザ感染時の状況。左が母親517人、右が一般成人29人

特徴認知で点滴薬意向が5%から30%に

次に、母親を対象にインフルエンザへの認知について質問した。すると、「インフルエンザは重症化及び死に至る可能性がある病気である」(91.7%)、「通院の遅れや適切な治療の遅れなどにより、『インフルエンザ脳症』『肺炎』などへの重症化の危険性がある」(79.1%)、「インフルエンザは基礎疾患を持っている、又は小児・高齢というだけで重症化率が高い」(71.9%)など、重症化の危険性についての認知が高いことが判明した。

また、インフルエンザへの関心においては、29.9%の母親が「通院の遅れや適切な治療の遅れなどにより、『インフルエンザ脳症』『肺炎』などへの重症化の危険性がある」と回答した。ほかにも、 「インフルエンザは重症化及び死に至る可能性がある病気である」(27.4%)、「インフルエンザウイルスは48時間を超えると急激に増殖するため、48時間以内に治療を開始しないと重症化しやすい状態となる」(23.4%)などと、認知同様に重症化の危険性への関心が高い結果となった。

さらに、母親を対象に魅力に思うインフルエンザ治療薬について聞いたところ、「1回の吸入で治療が完了する薬である」(24.2%)、「病院で1回、約15分の点滴するだけで治療が完了する」(19.6%)、「病院内での投与のため、薬の副作用が起こった時にも医師がおり、安心できる」(19.2%) などが上位を占めた。

インフルエンザ治療薬の服用・使用意向の推移(母親2,000人)

インフルエンザ治療薬の服用・使用意向を聞いたところ、情報提示前はタミフルなどの経口薬(22.6%)の服用・使用意向が最も高かったが、インフルエンザ治療薬に関する情報を提示するとラピアクタなどの点滴薬の服用・使用意向が5.1%にから29.6%まで上昇した。

中原英臣氏(新渡戸文化学園短期大学学長/健康日本21推進フォーラム理事)は、「病院では、医師の指示に従うことはもちろん大事だが、治療方法や薬のリクエストをしてはいけないというわけではない。治療薬の特徴をしっかり理解し、子供や自分自身にとって最善の治療に臨むことが重要である」とコメントしている。