米国航空宇宙局(NASA)が現在推進している「PhoneSat」プロジェクトでは、市販の携帯電話を基礎部品とした安価で汎用性のある小型衛星装置を開発することを主眼としている。先月11月後半に打ち上げられたPhoneSat 2.4ではコア部品にSamsung ElectronicsのNexus Sを使用し、今後1年間の地球周回の耐久ミッションに挑むことになる。
PhoneSat 2.4の概要はNASAの出したプレスリリースの中で動画付きで解説されている。Googleのお膝元である米カリフォルニア州マウンテンビューの近く、Moffett FieldのAmes Research Centerで開発されたPhoneSatは、Nexus Sをコアに双方向のSバンド通信モジュールを搭載した、4インチ(約10センチメートル)四方の2.2ポンド(約1キログラム)のキューブ状のモジュールとなっている。NASAはスマートフォンのような市販品を使って低コストで低リスクな低軌道衛星実現を目指しており、その途上にある。今年4月に打ち上げられたPhoneSat 1.0は1週間のミッションだったが、2.4ではこれを最大1年間にまで伸ばすことが目標となる。
多くが知るように、Nexus Sは1.0GHz駆動のARM Cortex-A8世代のExynosプロセッサ搭載と、すでに現役世代のマシンとしてはやや厳しいスペックになっているものの、宇宙開発・探索用途としては必要十分な構成だ。Nexus Sのような汎用スマートフォンがミッションに選ばれた理由として、必要十分なコンピュータ処理能力や通信機能を備えており、姿勢制御や地上本部からの命令受信やデータ送信、さらに衛星同士のコミュニケーションなど、衛星のコアブロックとして十分機能することが挙げられる。またThe Vergeによれば、PhoneSat 2.4にかかったコストは7500ドルとのことで、汎用部品をフル活用したことで驚くほど安い。
なお、次回ミッションのPhoneSat 2.5は2014年2月に予定されており、こちらも商用のSpaceXロケットを用いて打ち上げが行われる。2.5のミッションは双方向通信システムと姿勢制御のテストで数ヶ月間にわたって周回軌道を回る予定だ。
(記事提供:AndroWire編集部)