有機野菜・低農薬野菜、無添加食品の宅配サービスを提供している、らでぃっしゅぼーや。昨年、NTTドコモの完全子会社となったことで大きな話題にもなった。ドコモと協力関係を築いたことで、同サービスにどのような変化が起きたのだろうか。また、今後どのようなサービス展開を予定しているのだろうか。今回、らでぃっしゅぼーや代表取締役社長の井手明子氏にお話しを伺うことができたので紹介しよう。

らでぃっしゅぼーや代表取締役社長の井手明子氏。同社は今年、創業25周年を迎えた

―― らでぃっしゅぼーやのサービスの特徴と、こだわりについて教えてください。

らでぃっしゅぼーやは、消費者の皆さんに食の安心、安全をお届けするサービスとなっています。毎週決まった曜日に有機・低農薬野菜の詰め合わせボックス「ぱれっと」をお届けするサービスや、カタログから注文していただく「元気くん」などのサービスを展開しています。

野菜の詰め合わせボックス「ぱれっと」、カタログ注文の「元気くん」などのサービスを展開している

弊社で取り扱う商品には、弊社独自の厳しい基準を課しています。これにより「使ってはいけない農薬を使わない」「基準を超えるような添加物を使わない」「遺伝子組み換えの飼料を使わない」など、農産物/ 肉・魚/ 加工食品の管理を徹底しています。そのため、例えば調味料ひとつとっても、原材料に至るまで全て答えられます。逆に、情報が照会できないものは一切使いません。

――いま、食品表示の偽装などが社会問題になっています。

口に入るもの、それも定期購入となると安全性が最重要になってきます。らでぃっしゅぼーやでは、食の安全を守る取り組みを25年間、続けてまいりました。生産者の情報を公開するなどして、顔が見えるサービスを心がけています。これまで長い期間をかけて培ってきた、生産者と消費者をつなぐネットワークの絆が、いま大切な宝になっていると感じています。

らでぃっしゅぼーやのホームページでは「お客様へお伝えしたい事」として、食の安全に対する同社の基本的な理念を伝えている

―― NTTドコモのスマートフォンで「dショッピング」では、らでぃっしゅぼーやのサービスを利用できるようになっていますが、同サービス利用者には、どのようなメリットがあるのでしょうか?

ドコモユーザーの皆さまはdocomo IDでログインしたり、ドコモポイントで商品を購入したり、携帯電話の請求と一緒に商品の料金を請求できたり、といったことが可能になります。これにより、誰でも気軽に私たちの商品を試していただけるようになると期待しています。将来的には、定期購入へのきっかけづくりにもなると考えています。

ドコモポイントで購入できる、NTTドコモのグルメコース(グルメカタログ2013)の例。らでぃっしゅぼーや ごちそうグルメ 2013は、4,000Pで利用できる

こちらが dショッピングの利用イメージとなる。同サービスから、らでぃっしゅぼーやの有機野菜などが購入可能だ

クリスマスケーキなどこれからの時期に最適な食品も購入可能だ

このほか、スマートフォンと直接の関係はないのですが、11月11日から、らでぃっしゅぼーやのECサイトを新たにオープンいたしました。PCだけでなくスマートフォン、タブレット端末からもフルブラウザのサイトをご覧いただけます。来年には、スマートフォンの画面に最適化したサイトもつくりたいと思っています。

特定の店舗をもたない私たちとしては、ドコモの1チャネルとして展開できるようになったことが大きな意味を持っています。全国に展開するドコモショップが、らでぃっしゅぼーやを知っていただく場にもなりうるでしょう。

食は、常に情報とセットになっています。スマートフォンやタブレット端末なら、「安心・安全な食材は何か」「いま旬の美味しい食材は何か」といった情報を、商品と一緒に見ていただくことができるわけです。

―― 今後の展開について教えて下さい。

10月下旬、NTTドコモでは料理教室最大手「ABCクッキングスタジオ」を運営する「ABC HOLDINGS」を買収すると発表しました。これにより今後は食材だけでなく、レシピや料理の仕方などを交えて商品を展開できるようになります。また、ドコモ・ヘルスケアではスマートフォンと健康機器を連携させたサービスを展開させています。健康、睡眠などヘルスケアの分野と「食」は親和性が高いので、グループ内で相互に連携することで新たなサービスを提供していけたらと考えています。

―― 本日はありがとうございました。

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昨年、らでぃっしゅぼーやがNTTドコモの傘下に入ったというニュースは、驚きとともに世間に伝えられた。今回の井手社長へのインタビューでは、らでぃっしゅぼーやとNTTドコモが何処へ向かおうとしているのか、その狙いの一端が垣間見えたと言えるのではないだろうか。料理教室との連携、健康管理機器との連携など、今後の取り組みに注目したい。