NVIDIAのTegra 4搭載7インチAndroidタブレット「Zotac Tegra Note 7」が12月6日より、2万5800円の価格で販売開始されることがアナウンスされた。これは11月上旬に米国で199ドルタブレットとして提供が開始された製品の日本版で、複数の国産ベンダーから日本市場向け周辺機器やソフトウェア対応が発表されている。
「Tegra Note 7」は、シンプルにいえばTegra 4を搭載したNVIDIAのタブレット向けリファレンス・プラットフォームのことだ。同社によれば、Tegra 3時代にも「KAI (カイ)」という名称のリファレンスが存在したが、今回はハードウェアデザインだけでなく、ソフトウェアな部分にも言及することで、パートナー各社がタブレット製品を市場にスムーズに提供できるような仕組みを整えた点が特徴だという。後述のようなスタイラス対応や強力なカメラ機能、さらには統一されたオンライン・ソフトウェア・アップデートのOTA仕様など、Tegra Note 7の名の下に世界共通の仕組みを構築することが狙いだったという。 Tegra Note 7ではこの共通のリファレンス・プラットフォーム構想を基に、複数のパートナーらと共同で世界市場への製品展開を進めている。例えば、現在協力パートナーに5社の名前が挙がっているが、米国ではEvga、英国ではAdvent、日本ではZotacという形で、それぞれのパートナーの名前が冠されたTegra Note 7が展開されている。12月2日に東京都内で開催された発表会では、Zotac International CEO兼エグゼクティブディレクターのWong Shik Ho Tony氏が登場し、製品のアピールを行っている。
世界での販売パートナーは現在5社が挙がっており、日本ではZotacが対応する。なおNVIDIAによれば、今後パートナーは拡充していく意向だという |
製品を紹介するNVIDIA マーケティング本部部長の林憲一氏(左)と今回日本での製品販売パートナーを務めるZotac International CEO兼エグゼクティブディレクターのWong Shik Ho Tony氏(右) |
すでに激戦区の様相を呈している7インチタブレット市場で後発のTegra Note 7が勝負するのはなかなかに厳しい状況だ。特にモバイルプロセッサ市場でライバルであるQualcommのSnapdragon S4 Proプロセッサを採用し、おそらくは完成品で最大のライバルになると思われる「Nexus 7」にどのように対抗していくかが課題になるとみられる。米国ではNexus 7と同じ199ドルの価格帯を狙って投入されたが、日本ではどうだろうか? 例えばNexus 7 (2013)のWi-Fi 16GBモデルが2万7800円で、Zotac Tegra Note 7は2万5800円であり、価格面では健闘しているといえる。だがTegra Note 7のセールスポイントはむしろTegra 4のCPU+GPUパワーを使って実現した数々の機能であり、そこを差別化ポイントとしている。
特徴的なものの1つが特殊なスタイラスで、普通の静電容量式タッチパネルながらデジタイザと同様の筆圧感知やレスポンスの高さを実現している点がポイントとなる。これは、先端の柔らかいスタイラスを用いることで本体の"沈み込み"による静電容量の変化をソフトウェア的に計算し、レスポンスを悪化させることなくスムーズに筆圧感知による入力に対応できるようにしたという。これが低コストで高レスポンスなスタイラス操作を実現した理由だ。国内の発表会ではこの点をアピールするため、書道家の涼風花氏を会場に呼び、実際に筆圧感知によるデモを実演している。
今回Tegra Note 7でのセールスポイントの1つが「DirectStylus」と呼ばれるソフトウェア・スタイラス認識技術。高価なデジタイザを搭載せずに、CPU+GPUの演算性能を使って通常の静電容量式タッチパネルで擬似的にデジタイザを実装し、高速レスポンスや筆圧感知といった仕組みを実現している |
このほかのセールスポイントも、Tegra 4最大の特徴であるGPU強化をどのように活かすかを検討した結果のアピールポイントになっているようだ。例えば強力なカメラ機能はその典型で、通常であれば明るさの異なる写真を2種類撮影するためのラグや合成時間のかかるHDR写真をスムーズできれいに撮影できたり、処理的に重い動体追跡によるフォーカス調整、120fpsで720pの動画が撮影できるスローモーション撮影機能など、比較的パワー志向の機能を多数盛り込んでいる(Always-On HDRの機能は後ほどOTAにて提供)。また以前よりTegraユーザー向けに提供しているゲームアプリ紹介コーナーのTegraZoneや、実際にゲームコンソールのように操作が可能なゲームパッドへの対応など、ゲーム対応を前面に押し出している点でもNVIDIAらしいといえる。
ラグの少ないHDR撮影や動体を追尾可能なTap-to-Trackを実現したり、さらには120fpsで720pのスローモーション動画撮影など、CPU+GPUパワーを前面に押し出したアピールを行っている |
MVIDIAといえばゲームという感じで、ゲームパッド対応やTegraZoneでの対応アプリ紹介など、Androidタブレットの中では本格的なゲーム対応をうたっている |
いずれせよ、年末商戦期の最後に滑り込んできた今年最後の大物製品といえそうなTegra Note 7。スタイラスによる軽快操作に、パワー志向の"NVIDIAらしい"ソフトウェア機能の数々をどうみるかが、タブレット製品選択のポイントになるだろう。
(記事提供:AndroWire編集部)