カルピス発酵応用研究所はこのほど、通常の治療に加えて「L-92 乳酸菌」を継続的に摂取することにより、食物アレルギーを合併している乳幼児のアトピー性皮膚炎の湿しんを緩和する傾向を確認し、発表した。
この研究はNPO法人アレルギー支援ネットワークと共同で、あいち小児保健医療総合センターの 伊藤浩明内科部長らの協力のもと実施。調査対象は、2011年、2012年6月~8月にあいち小児科保健医療総合センターアレルギー科を受診した患児で、生後10か月~3歳未満の食物アレルギーを合併するアトピー性皮膚炎の59名(平均年齢1.8歳)。対象を2群に分け、試験群にはアトピー性皮膚炎の標準治療に加え、「L-92 乳酸菌」の粉末食品を6カ月間摂取させた。
結果、L-92 乳酸菌摂取群はSCORAD(アトピー性皮膚炎の程度を客観的に評価するために開発された指標)で改善傾向が認められたとのこと。他には、対照群と比較すると6カ月間摂取後の血液中総IgE(体外からの異物を捕まえて体を守る物質で、過剰に働くとアレルギー反応を引き起こす)の量が有意に低下したという。さらにはTARC(血液中にあるケモカインと呼ばれるたんぱく質の一種で、炎症が強い人ほど数値が高くなり、炎症が弱い人では数値が低くなる)の値も対照群に比べて有意に低下した。
同研究所は「L-92 乳酸菌を1日当たり20mg摂取することで、アトピー性皮膚炎の湿しんが改善傾向を示し、血液中のアレルギー指標が改善されたことから、L-92 乳酸菌は乳幼児のアトピー性皮膚炎に有効に働く可能性が示唆された」と発表している。