就労中の妊娠、出産は多かれ少なかれ職場に迷惑がかかるもの。だが、今回、子を持つ女性を対象に行った行ったアンケートによると、実際に妊娠の報告、産休を申請した際の上司をはじめとする職場の人々には、意外にもすんなりと受け入れられた人が多かったようだ。
「職場の院長はじめ、皆とても祝福してくれ、時期に応じて配慮をしてくれた。同僚も早いうちからサポート体制をとってくれ、患者さんに支障が出ないよう協力してくれた。復帰後も私自身が働きやすいよう、無理のないよう復帰前に何度かミーティングを行い、サポートしてもらった」(38歳医療系専門職 6歳・1歳女児)。
復帰後もそれなりに厳しく……
とはいえ、復帰後の反応はやはりそれぞれ。理解は示しても厳しい現実を目のあたりにするのも事実としてあるようだ。
「直属の上司は理解はあったが、復帰をしつこく念押しされた。所属部署のトップはご主人が主夫として子供2人を担当し、一家を養う外国人女性だったので、出産後も仕事をこなすことに関しての職場の理解は過分にあったと思う。復帰後は、所属部署のトップが独身女性に代わり、かなりハードワーカーなボスだったので周りの理解に甘えられない気持ちが強くなった」(38歳主婦 6歳女児・1歳男児)。
「復帰後は時短勤務で今まで通りに仕事をこなせない。『家に持ち帰って仕事すればいいじゃん』という無言の圧力を感じるが、帰宅したら子供の世話と家事でそんな余裕がない。そのため、仕事の進め方にやや悩む」(29歳会社員 5か月女児)。
マタハラ経験者も
また、"マタハラ"と呼ばれる、いわゆる上司や同僚からの嫌がらせを経験した人もいる。
「妊娠後期、ちょっと重いものを持って会社を歩いていたら、心優しい男性が『持とうか? 』と言ってくれた。『大丈夫だよー、ありがとう』と言おうとしたら、無関係の別の男性が割り込んできて『妊娠は病気じゃないからねー』と言ってきてムカついた」(37歳会社員 6か月女児)。
その他、直接的なハラスメントはなくとも、無言のプレッシャーや自身で罪悪感を感じていたという人も。
「ハラスメントはない。ただ、子供が2歳にならないのに、人員が限られているという理由で深夜まで働く事もしばしば、ひどいと終電がなくタクシー帰りという環境。どうにもならないとはいえ、どこまで働けるか試されているような気さえした」(38歳主婦 6歳女児・1歳男児)。
一方、産休育休や育児しながらの就労を周囲に快く受け入れてもらうためには、本人の努力や心持ち次第と指摘する意見もあった。
「結局は『子供がいるんだから当たり前』というスタンスではなくて、『子供がいるからやれるときは120%がんばる』『同僚の助けをありがたく思い、感謝の形を仕事にして返す』ということができれば意外と同僚の協力は得やすいと思う。子供がいてもいなくても、権利を主張ばかりする同僚には同情したくてもできない」(37歳金融系専門職 5歳女児)。
育児と仕事の両立は決して容易ではないが、社会制度や雇用環境、職場の理解を求める以上に自分自身の意識そのものが最も重要とも言える。