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月刊少女野崎くん

『月刊少女野崎くん』(スクウェア・エニックス刊)

月刊で、少女で、野崎くんとは何ぞや? 椿いづみの『月刊少女野崎くん』は、無骨な男子高校生が実は超ロマンチックな少女漫画家だったというところから始まる、クスッと笑えるラブコメディだ。主人公・野崎梅太郎は、普段は無口でニヒルな男性高校生。女にはまるで興味なし!な雰囲気を醸し出している。そんな野崎くんに恋をし、ついには告白を決意する佐倉千代。勇気を持って告った結果、彼の自宅へ招かれるものの、あれよあれよという間になぜか漫画家アシスタントになっていた……。野崎くんのペンネームは“夢野咲子”。初恋もまだな(と断言している)彼が、なぜ少女漫画を書いているのか、そして千代との恋の行方は? 四コマ漫画の構成でテンポがよく、基本1ページ完結しているものの、キチンとストーリーが展開していく、作者の手腕が素晴らしい。また「狙ってた」や「なんかじわじわ来たらしい」、「先輩(アシの)」などページ毎のタイトルも秀逸なので逐一チェックして読んでほしい。

猫絵十兵衛~御伽草紙~

『猫絵十兵衛~御伽草紙~』(少年画報社刊)

永尾まるの『猫絵十兵衛~御伽草紙~』は、人の言葉を話し、酒を呑み、タバコを喰らう怪猫・ニタと、ネズミよけの猫絵を描き、猫語を解する絵師・十兵衛が主人公。その1人+1猫と、たくさんの猫が住み着く江戸時代の“猫丁長屋”を舞台に、さまざまな人情物語が展開していくというもの。著者の永尾まるによれば、古今東西の猫の民話をヒントに描いているそうで、サラリと出てくる長唄や回向院をもじった“ねこう院”、また猫好きだったという歌川国芳をモデルにした師匠など、江戸風俗の描写が随所に盛り込まれているのも魅力。そして猫嫌いの浪人や猫好きな花魁、はたまたネズミに苦労する問屋とその娘、近所に住む左官の恋バナ、夜逃げする小間物問屋など何気ない人物設定の中に、ひときわきらりと光るのが、ニタをはじめとする猫股という猫の妖怪の存在。化け猫などおどろおどろしい設定もあるが、物語の大半は、クスリと笑える摩訶不思議な人情話ばかり。よっぽど大好きなのだろう、猫の描写が忠実で、読後感が非常によい猫マンガである。うちの猫も人語を理解しているのではと邪推してみたり……。

鋼の錬金術師

『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス刊)

ハガレンの愛称でおなじみの『鋼の練金術師』は、中世錬金術を題材とした壮大なファンタジー。9年にもわたる連載でアニメ化もされており、名前だけでも聞いたことがある人も多いはず。錬金術とは非金属を貴金属に精錬しようという試みのこと。本作の主人公、エドワード&アルフォンソ・エルリック兄弟は、死んでしまった母親を錬金術によって蘇らせるという錬金術師としての禁忌を犯してしまい、兄は左足と右腕、弟は身体を失う、というところから始まる。自分たちの肉体を取り戻すため、ひいては母親を復活させるために旅に出る。果たして目的は叶うのか……。少年漫画でありながら、等価交換の概念や人体クローン、人間とは何かなど深いテーマを感じさせ、各々の物語がテンポよく進んでいくことが素晴らしい。 “焔”や“紅蓮”といった錬金術師たちや機械鎧整備士ウィンリィ、兄弟の師匠イズミ、そして物語の鍵を握る兄弟の父など絶妙な人間関係や人物設定も巧妙で、全27巻一気読みに値する作品だ。

2位は柳原望の『高杉さん家のおべんとう』、3位はみよしふるまちの『東京ラストチカ』、5位は宮本福助『拝み屋横丁顛末記』などがランクインしている。なお11月の少年漫画ランキングは以下のとおり。

順位 作品タイトル 著者/原作者名
1位 月刊少女野崎くん 椿いづみ
2位 高杉さん家のおべんとう 柳原望
3位 東京ラストチカ みよしふるまち
4位 鋼の錬金術師 荒川弘
5位 拝み屋横丁顛末記 宮本福助
6位 ブラック・ジャック 手塚治虫
7位 メテオ・メトセラ 尾崎かおり
8位 【3話セット】君が妖は 木風巽
9位 ブラッディ・クロス 米山シヲ
10位 猫絵十兵衛 ~御伽草紙~ 永尾まる

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