カンター・ジャパンは27日、放映される前の広告を評価する効果測定サービス「リンク(Link)調査」に関する調査結果を発表した。それによると、日本はテレビ広告で有名人を起用する率が他の国よりも高いことがわかった。
「リンク調査」は、テレビ広告の効果を高めたい広告主(企業)に対し、放映される前の広告を評価するサービス。ここで言う効果とは、広告を見た消費者が、製品・サービス(ブランド)に良い・悪い印象を持ったり、買いたい・買いたくないと思うようになったりするなど、気持ちや行動に変化を起こすことを指す。
同調査は、日本ではカンター・ジャパン、日本以外ではグループ会社のミルウォード・ブラウン社が実施し、日本の場合は主に大手の(耐久)消費財メーカーが出稿する広告が中心となっている。これまでに評価された広告数は、世界累計100万件、日本累計2,500件以上に上り、このうち、2010年以降に扱われた広告を見ると、日本の「有名人を起用したテレビ広告」の割合の高さが目立ったという。
同調査で扱ったテレビ広告のうち、「有名人を起用したテレビ広告」の割合を調べたところ、日本が56%で最多。以下、韓国が47%、中国が33%、タイが28%、インドが24%などと続き、アジア圏の国が上位を占めた。他方、アジア圏以外では、アメリカが9%、イギリスが10%など低い割合にとどまった。
次に、「有名人を起用したテレビ広告」のうち、国内の有名人を起用したものと海外の有名人を起用したものの割合を見ると、日本は国内有名人が87%、海外有名人が13%、韓国は国内有名人が85%、海外有名人が15%など、アジア圏において国内有名人の起用率が高くなっていた。
一方、アメリカは国内有名人が49%、海外有名人が51%、イギリスは国内有名人が51%、海外有名人が49%、ロシアは国内有名人が53%、海外有名人が47%などとなり、欧米では起用率に大きな差は見られなかった。
ミルウォード・ブラウン社によると、テレビ広告に有名人を起用する場合は、ブランドにとって適切な人を起用し、適切な方法で(そのブランドを)表現してもらうことが重要だという。同社は「総合的に見ると、『有名人を起用したテレビ広告』の方がそうでないものよりも効果が高いとか、海外の有名人を起用する方が自国の有名人を起用するよりも効果が高いと言える決定的な差異は観察されていません」と説明している。
ただし、国によって「海外の有名人の方が消費者の目を引く効果がある」「国内の有名人の方が消費者に製品又はサービス(ブランド)のメッセージを伝える効果がある」など、わずかだが効果に違いを認められる場合はあるとしている。