Cerevoは27日、ネットワーク経由で電源のオンオフ操作や、調光操作ができる電源タップ「OTTO」を発表。即日直販サイト「Cerevo Store」で予約受付を開始した。直販価格は23,800円。発売は2014年1月から2月を予定する。
「OTTO」は8個口の電源ポート数を備えた、有線/無線LAN対応の電源タップ。曲線を生かしたデザインの本体内に空間を設け、PCや携帯電話など接続した機器のACアダプタをまとめて収容できる。
また、有線LANとIEEE802.11b/g/nに対応した無線LAN機能を備え、手元のタブレットやスマートフォンなどから、本体とつないだ機器のオンオフ操作を外出先からリモートで行える。8ポートのうち2ポートは、照明器具の調光も可能だ。
タブレットやスマートフォンからの操作には、無料の専用アプリを利用する。アプリでは、OTTOの8個口の電源ポートそれぞれに名前を付けて管理できるほか、指定した時間と曜日で電源のオンオフができるタイマー機能も搭載する。アプリの対応OSはiOS 7.0以降、Android 4.3以降。WindowsやMacなどへの対応は検討中という。
本体サイズはW420×D253×H130mm、重量は約1.5kg。定格容量は10A/100V(計1000Wまで)。
OTTO用の専用アプリ。Google PlayやApp Storeから無料でダウンロードできる。同社の専用サーバを経由して通信を行い、OTTO側の電源オフを感知してデータを操作デバイスに通知するため、専用アプリのアイコンの色で各ポートの電源オン/オフがわかる。複数のOTTOを切り替えて使うことも可能 |
OTTOの"見せる"外観 - 元の構想は「サブウーファー」
同日開催された発表会では、Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏や、プロダクトデザインを手がけたデザイナーの柳澤郷司氏が、開発の背景や裏話を語った。
「OTTO」は"見せる"外観を意識したという。「どの家庭にも電源タップは沢山あるが、普通は人が来たら隠すもの。このOTTOは、"自慢できる"電源タップ。リビングの床にぽんと置いておいても良い」(岩佐氏)。
OTTOの最初のイメージは、スピーカーの「サブウーファー」だった。「格好よくて、人に自慢できるもの。床においてもデザインとして溶け込んでいる。これくらい据わりのいい電源タップを作りたかった」という。
例えばテレビ裏など、ガジェットが複数台あると電源まわりがごちゃごちゃしやすい |
当初はサブウーファーのような、ある程度の大きさがあり、置いても格好いいものを想定していたという |
出来上がったOTTOは曲線で構成され、上部と下部にコードを取り回せる穴が開いている |
つないだACアダプタは、本体湾曲部分の空間に収まり、後方もしくは上部の穴からケーブルを外に出せる設計だ。アダプタ収納空間は、MacBookのような縦幅のあるACアダプタも収納できる広さ。本体背面にはサーキット・ブレーカー(安全ブレーカー)も備え、製品の定格容量以上の電力を消費する機器をつなぐと、自動的に電源がオフになる。
一般的な電源タップは4個や6個の個口数だが、「大いに越したことはなく、足りている人を見たことがない」と、8個口を搭載。もともと10個口を希望していたが、本体のサイズ内に収まらず、8個口になったという。今後、4個口や6個口の製品も「OTTOの反応をみながら検討」する。
「卓上でも使えるが、床にOTTOだけぽんと置いて使っても問題ないと考えている。スマートフォンや携帯ゲーム機のケーブル長は1mから2m弱。テレビ裏などに電源を置くと引っ張ってもソファまで届かない。そんな時、OTTOなら床に置いても石庭のような美しさがある」(岩佐氏)。
曲線デザインへのこだわりと苦労
デザインを担当した柳澤氏は、世界的に著名なデザイナー、ロス・ラブグローブ氏の1stアシスタントを務めた経歴を持つ。発表会では、3Dプリンタを使用した試作の様子など、岩佐氏との対談形式でOTTOの製作秘話が語られた。
デザインを重視する「デザイナーズ家電」は、通常4~5回の試作機を製作するが、岩佐氏の要望は"試作は1度"。また、試作までの製作期間が3カ月弱と非常に限られていたため、アナログ作業を省き、ミーティングで要望を聞きその場でデザイン案を出すこともあったという。
試作機はニューヨークの3Dプリンタ業者に依頼し、5営業日で完成させた。SLSを使った試作機は射出まで早い・安い・軽いといったメリットがある反面、美観が悪く、展示に耐えられない脆さも課題だった。このため、表面硬化処理を施し、3次に渡って試作機を磨き上げたという。なお、2回目以降の試作は国内でデジタルコンテンツの配信や3Dプリント事業などを展開するDMM.comが手がけている。
下部がすぼまったOTTOの曲線形状は、柳澤氏のこだわりの1つ。金型を使う多くの成形物は、成形後に金型からスムーズに抜けるよう、端がすぼまらない形となっている。OTTOは下部がすぼまっているため、成形には内側の金型がスライドし自動で抜ける特殊な金型を採用した。これはコスト増につながったが、岩佐氏も「こだわりたかった部分」とする。試作を重ねつつプラスチックの充填具合など調整し、完成に至ったという。