野村総合研究所は27日、2018年度までの国内を中心とするICT(情報通信技術)市場について、動向分析と規模の予測を行い、その結果を発表した。それによると、スマートフォン関連市場やウェアラブル端末市場などが成長分野であるという。
デバイス市場について見ると、全世界の携帯電話(スマートフォンを含む)端末の販売台数は、新興国での急速な普及と1人複数台の契約増加により、2013年度の18億台から2018年度には21億台に拡大すると見込んでいる。
トレンドについては、アップルやグーグルといったシリコンバレーを代表する企業が主導権を握っているとし、スマートフォンの開発が遅れた国内メーカーは、これまで携帯電話で築き上げた優位性を保持できず、苦境に追い込まれていると分析。また、スマートフォンは、デジタルカメラや車載情報端末など多くの専用端末市場を取り込みつつあると見ている。
タブレット・電子書籍専用端末市場については、既存のノートパソコンやデスクトップパソコンの代替、および電子書籍端末としての需要増により、全世界での販売台数が、2013年度の2億台から2018年度には2.9億台に増加すると予測。市場の成長は、主に中国、インド、東南アジア、東欧、中南米、中東、アフリカ等で、経済成長に勢いがある国に牽引されるという。
トレンドについては、スマートフォン同様に、アップルやグーグル、マイクロソフトといった米国企業が先導しているものの、中国メーカーも低価格端末を開発するなど積極的な動きが見られる。
ウェアラブル端末市場については、国内販売台数が、2013年度の23万台から2018年度には475万台に拡大すると予測。「メガネ型のスマートグラス、腕や服などに身につけ健康管理を行うモバイルヘルスケア端末」など、様々な端末がこれからも登場するとしている。
デジタルカメラ市場については、全世界での販売台数が、2013年度の8,740万台から2018年度には6,150万台に縮小すると予想している。
ネットワーク市場については、「狭義のネットワーク市場の規模縮小が続く中、通信事業者は、海外やM2M(マシン・トゥ・マシン)などの新領域への展開による新たな市場の開拓を迫られる」と分析している。
プラットフォーム市場については、クラウドサービスの普及により、個人がEC(電子商取引)ビジネスに参入することで、新たな市場が開拓される可能性が出てくるという。
コンテンツ配信市場については、スマートフォン・タブレット端末により、グローバル企業の勢力が拡大しており、「国内企業は、端末・プラットフォームの選択やサービスの差別化によって、経営が左右される」としている。