専業主婦と有職主婦。世間では度々対立軸として議論されることが多い女性の生き方だが、それぞれが抱く思いや印象を実際の主婦たちに聞いてみた。既報の専業主婦編に続いて、有職主婦が感じている専業主婦のイメージを以下にまとめる。
「子供が幼稚園に行っているなら、自分の自由な時間が多くてうらやましい。掃除、炊事、洗濯などきちんとできるんだろうなと思う」(38歳パート 5歳男児・3歳男児/女児)。
「ずっと子供と自分だけの世界というのは自分にとっては耐えられないので、逆に尊敬する。仕事をして緊張感のある環境に自分を置かないと、脳が退化しそう。あと、離婚した時とかのことは考えていないのかなとは思う。養育費を勝ち取ってもそれだけじゃとても生活できない」(29歳会社員 5か月女児)。
まずはこのように、有職主婦が専業主婦に抱くイメージで根強いのは「育児や家事にかける時間がたっぷりあってうらやましい」との声。またその一方で、四六時中育児に情熱を傾けなければならないことの大変さを気に掛け、次のようにそれを賛辞する声も多かった。
「専業主婦が怠けているなどとは思わない。彼女たちはとてもよくやっていて、私の周りに関しては、子供のことを本当によく見ている。むしろ共働きの人のほうが、どちらも中途半端、仕事してりゃいいってもんじゃないのになあと思わされることも多い」(40歳ライター 11歳女児・7歳男児)。
「我が子の場合は、トイレトレーニングや食事の作法などはすべて保育園の先生方が教えてくださったので助かったが、それらを自分で全部する専業主婦はすごいと思う」(38歳医療系専門職 6歳・1歳女児)。
「極めようと思えば、専業主婦仕事はエンドレスなのだと思う。そして夫がかなりできた人間でないと専業主婦は鬱憤がたまるだろうなあとも思う」(37歳金融系専門職 5歳女児)。
暇つぶしの毎日??
しかし、一方ではすべての専業主婦が尊敬に値するわけではないようだ。次のような厳しい見方もあった。
「自分が働いていない時に知り合ったお母さんの多くが、大型ショッピングセンターへ行ってガヤガヤうるさい場所で子供を遊ばせたり、ママ友ランチしたり、誰かの家で集まったり、まだ小さい子供を連れ回して毎日暇つぶししているように見えた。そんな毎日をうらやましいとは思わなかった。なんで働かないのかなーと不思議に思う」(36歳医療系専門職 3歳男児・1歳女児)。
「専業主婦も働き方の1つだと思うので否定はしない。ただ、あくまでも"主婦業"だと思うので、家事が仕事。育児は共同作業だと思うので、夫に家事分担を要求する専業主婦は理解できない」(40歳自営会社役員 13歳・6歳女児)。
このように、専業主婦と言えども実態や日々の行動は個人によって異なり、ひとくくりにして論じること自体がナンセンスだという次のような考えもあった。
「専業主婦、働くママと線引きを引くのはいまどき古いし、いつ自分がその反対側に行くかわからないので、その垣根を自らつくることはしたことがない」(37歳金融系専門職 5歳女児)。
「働きたくても働けない人、働きたくないのに働かざるを得ない人など、事情はそれぞれだし、どう生きるかは個人の選択なのでなんとも思わない。とはいえ、社会にとって有能な人材が子育てだけをしているのはやはりもったいないとは思う」(38歳ライター 7歳男児)。
つまり、一口に専業主婦や有職主婦と言っても一義的な定義づけは難しいという考え方もある、ということだ。同時に、主婦たちの間でも双方の立場でそれぞれの事情や苦しみを理解し合い、一定の敬意を抱き、同性として社会に対する改善を求める機運が感じられた。