帝国データバンクは21日、「第2回 原発関連企業の実態調査」の結果を発表した。それによると、前回調査対象の2,258社のうち、福島県の企業を中心に72社がこの2年8カ月で倒産などを理由に無くなったことがわかった。

同調査は、同社の調査報告書ファイル(160万社収録)および企業概要データベース「COSMOS2」(144万社収録)を元に、日本国内の原子力発電事業に携わる企業(事業内容が明確に判明するもの)2,579社を抽出し、分析したもの。前回調査は2011年6月に2,258社を対象に実施し、今回は震災以降2年8カ月の間に起きた原発関連企業の変化を主に分析した。

前回調査の対象企業について、この2年8カ月の動向を分析したところ、福島第1原子力発電所の所在地で避難地域でもある福島県双葉郡の企業を中心に、全国で72社が倒産や休・廃業などで無くなっていることが判明。うち福島県では27社が無くなった。帝国データバンクによると、27社の大半がかつて福島原発の工事を請け負っており、避難指示などの混乱のなかで所在不明となっている企業が多いという。

無くなった原発関連企業の動向

原発関連企業を業種別に見ると、「製造業」が最も多く872社(構成比33.8%)。次いで、「建設業」が781社(同30.3%)、「卸売・小売業、飲食店」が369社(同14.3%)となった。

前回調査と比べた場合、「製造業」は0.7ポイント減、「卸売・小売業、飲食店」は1.0ポイント減。一方、現地施設のメンテナンスや原発事故に伴う各種現場作業などの増加により、「建設業」は2.1ポイント増加した。詳細を見ると、「土木工事」は0.8ポイント増、「とび工事」は0.7ポイント増などとなったのに対し、「弁・付属品製造」は0.3ポイント減、「ソフト受託開発」は0.2ポイント減などとなり、積極投資に関わる納入業者の構成比が減少したことがわかった。

地域別に見た場合、「関東」が1,141社(構成比44.2%)で最多。以下、「近畿」が398社(同15.4%)、「東北」が326社(同12.6%)、「北陸」が268社(同10.4%)と続いた。前回調査と比べると、「関東」は2.6ポイント減、「近畿」は0.8ポイント減。一方、「東北」は建設業者の増加を背景に2.0ポイント増加し、そのほか5地域も増加した。

帝国データバンクは今回の結果について、「福島原発の事態収拾に国費が積極投入される見通しとなったことで引き続き工事発注が安定して続くことが予想されるが、世論も含めた原発に関わる大きな国の方針が固まらない以上、企業にとって業況が不安定なことに変わりはない。原発に関わる企業への配慮も含めた政策決定と、実行力が望まれている」と述べている。