「第43回東京モーターショー2013」の一般公開に先立ち、20・21日の2日間、報道関係者を招待してのプレスデーが開催された。会場に国内・海外主要メーカーの新型車やコンセプトカーが並ぶ中、トヨタは「FUN TO DRIVE, AGAIN」を合言葉に、「未来のモビリティライフ」を提案するモデルを中心に出展している。

世界初公開された「TOYOTA FCV CONCEPT」。未来のクルマというイメージの次世代燃料電池自動車で、2015年に市販化される予定

「TOYOTA FCV CONCEPT」のベアシャシー。モーター、燃料電池、水素タンクなどが配置されている

世界初公開のコンセプトカーで「未来のモビリティライフ」提案

トヨタブースでは、トヨタが考える「未来のクルマ」をラインナップ。中でも目玉といえるのが、ガソリンのいらない次世代燃料電池自動車「TOYOTA FCV CONCEPT」だ。

同車は2015年に市販開始を予定しているというFCV(燃料電池自動車)のコンセプトモデルで、これが世界初公開。デザインのモチーフは双胴船とのことで、ガソリンの代わりに水素を充填し、排出するのは水のみというFCVの特徴を表現しているのだろう。

日本のおもてなしの心がテーマという「JPN TAXI Concept」。大開口電動スライドドアで乗降性に優れる

同じく世界初出展の「JPN TAXI Concept」は、日本ならではの「おもてなしの心」がキーワードの次世代タクシーコンセプト。日本の街に合った取回しのよいボディサイズにして、ゆとりある室内空間と優れた乗降性を確保したという。キーワードといい、コンセプトといい、2020年の東京オリンピック開催時に街中を走り回る姿を連想してしまう。

これら2台は、「未来」といっても「近い将来」の印象が強かった。一方、「TOYOTA FV2」も今回が世界初出展だが、こちらはかなり未来的な乗り物のようだ。

「TOYOTA FV2」。カラダとココロで通じ合えるパートナーのような存在をめざすという

同車のコンセプトは「直感で通じ合えるクルマ」。運転操作はハンドルではなく、ドライバーの体重移動をクルマが感じ取ることで実行されるという。音声認識や画像認識により、ドライバーの感情を推測し、人の記憶に相当する走行履歴の蓄積データとともにルート提案の判断材料とするなど、心のつながりも感じさせるクルマとなるようだ。

「86」オープンモデルや新型「ヴォクシー」「ノア」も

プレスブリーフィングではトヨタ自動車取締役副社長の加藤光久氏が登壇

トヨタブースにて行われたプレスブリーフィングでは、トヨタ自動車取締役副社長の加藤光久氏が登壇。ステージ上のコンセプトモデルたちを、「トヨタの考える未来のクルマ」と紹介した後、「たとえどんなに進化しても、変わらないもの、変えてはいけないものがある。それは、クルマを単なる移動の手段、モノにはしないということ」と、これからのトヨタのクルマづくりの方向性について語った。

加藤氏は、同社のテレビCMでもおなじみの「ReBORN」というキーワードを持ち出した上で、リボーンさせた「86」「クラウン」などへ賛否両論が寄せられていることに対し、肯定的な見方を表明した。「嫌いじゃないけど、好きでもない」と言われるクルマではなく、「好きで、好きで、たまらない。このクルマ以外は考えられない」と思われるクルマを作っていきたいと、新型車開発に対する思いを述べた。

また、今年5月に開催されたドイツ・ニュルブルクリンクでの24時間耐久レースへ、「86」で参戦したエピソードも披露された。現場で一丸となって真剣にクルマの開発に向き合ったドライバーのモリゾウ氏(トヨタ自動車代表取締役社長の豊田章男氏)から新入社員までを、「本当にクルマが大好きで、もっといいクルマをつくりたいという気持ちをもったカーガイ」と表現。トヨタの合い言葉としておなじみの「FUN TO DRIVE, AGAIN」に、「We Love Cars」を付け加えて締めくくった。

「FT-86 Open concept」。リヤからの写真はソフトトップを閉めた状態

テレビCMの「TOYOTOWN」が出現!? ハイブリッドの木のそばに「VOXY CONCEPT」が

トヨタブースではその他、「86」がベースのコンバーチブルモデル「FT-86 Open concept」をはじめ、2014年初頭にもハイブリッドシステム搭載車をラインナップに加えての発売が予定される「VOXY CONCEPT」「NOAH CONCEPT」なども展示している。同社のテレビCMに登場する「TOYOTOWN」が再現されたのも、今回の見所のひとつといえるだろう。