国土交通省はこのほど、全国の建設業者を対象に実施した「2013年度下請取引等実態調査」の結果を発表した。

同調査は、2013年7月16日~9月2日の期間に郵送による書面調査にて行われ、全国の建設業者1万3,949者から有効回答を得た。

下請負人として建設工事を受注したことのある業者(9,229者)のうち、元請負人から「不当なしわ寄せを受けたことがある」と回答した業者は平均15.7%(1,445者)で、しわ寄せ率は前年度より1.1ポイント増加した。

許可区分別に見ると、「知事一般建設業者」が最も高く20.3%。資本金階層別では、「3,000万円未満」が18.0%、「3,000万円以上5,000万円未満」が14.2%などとなり、資本金規模の小さい業者ほどしわ寄せ率がおおむね高くなっていた。

都道府県別では、愛知県の23.7%がトップ、以下、埼玉県の22.2%、石川県の21.7%と続いた。反対に最も低かったのは和歌山県の5.1%で、次いで愛媛県の6.9%、青森県の7.2%となった。

元請負人による下請負人へのしわ寄せの状況(出典:国土交通省Webサイト)

しわ寄せの内容については、「工事着手後に契約」が31.5%で最多。以下、「指値による契約」が23.5%、「書面による契約締結の拒否」が22.5%と続いた。また、前年度より項目に加えた「消費税転嫁」については3.9%(前年度6.4%)となった。

元請負人として建設工事を発注者(施主)から直接受注したことのある業者(1万138者)のうち、発注者から「不当なしわ寄せを受けたことがある」と回答した割合は前年度比2.3ポイント減の5.7%(580者)だった。

また、今回から新たに賃金に関する項目を追加し、技能労働者の賃金水準について調べたところ、2013年4月以降に賃金を引き上げた業者は36.6%(予定含む)。理由としては、「公共工事設計労務単価が上昇したため」が21.1%、「受注量が増えるなど、業績が好調で、以前よりも賃金に回せる資金を確保できるようになったため」と「周りの実勢価格が上がっており、引き上げなければ必要な労働者が確保できないため」が同ポイントの18.6%などとなった。

一方、賃金を引き上げていない業者は35.6%(予定含む)。理由としては、「請け負った価格が低く、賃金引き上げの費用が捻出できない」の46.0%、「経営の先行きが不透明で引き上げに踏み切れない」の31.7%が多かった。

保険加入状況を見ると、3保険(年金保険、健康保険、雇用保険)すべてに加入している業者は92.2%に上った(知事許可業者については資本金1,000万円以上が調査対象)。

建設工事を下請負人に発注したことのある業者(1万1,758者)のうち、建設業法に基づく指導を行う必要のない業者(適正回答業者)は3.4%(401者)で、前年度より1.0ポイント改善した。