既報の通り、サンディスクは11月8日に、コンパクトフラッシュカード(以下、CFカード)のラインナップを一新するとともに、都内で記者発表会を行った。発表会のあと、サンディスクコーポレーション リテール製品マーケティングディレクターのスーザン・パーク氏にお話をうかがった。

サンディスクコーポレーション リテール製品マーケティングディレクターのスーザン・パーク氏

―― パークさんは世界市場を見ていると思いますが、最近のメモリーカードのトレンドを教えてください。

パーク氏「コンシューマー、ハイエンド、モバイルという3つの切り口があると思います。コンシューマーの領域ではデジタルカメラの売れ行きが縮小し、モバイル化が進んでいます。

このためmicroSDは伸びてますが、コンシューマーイメージ用のメモリーカードは売れ行きにあまり変化がない状況です。ハイエンドイメージ向けは大容量化が進んでいます。モバイルのメモリーカードに関しても、急速に大容量化が進んでいます」

―― モバイルの台頭というお話がありますが、コンシューマー領域において、CFカードの出荷はどの程度あるのでしょうか?

パーク氏「現在、CFカードの出荷は全体の市場でも10%以下であり、SDメモリーカードやmicroSDメモリーカードが大きなポジションを占めています」

市場での伸びが著しいというサンディスクのSD/microSDメモリーカード製品

新しくなったCFカードのラインナップ。写真はハイエンドのSanDisk Extreme Proシリーズと、上位モデルのSanDisk Extremeシリーズ

―― サンディスクのメモリーカードはワールドワイドでも日本でもトップシェアですが、日本だけに限れば、他の地域や国よりもシェア(数値)が低いとのことでした(発表会のプレゼンテーションより)。この理由について、どのように分析されていますか。

パーク氏「日本には非常に強力なブランドが『ホームブランド』として存在するためであろうと考えています(編注:東芝やパナソニックなど)。我々は残念ながら日本企業ではないので、その意味では少々不利です。とはいえ、メモリーカード、フラッシュメモリブランドとして、サンディスクはナンバーワンという自負があります」

発表会のプレゼンテーションから、メモリーカードにおけるサンディスクのシェア。世界の主要地域と比較して、日本でのシェアが若干低い(それでもNo.1)

日本国内ではライバル同士でもあるサンディスクと東芝だが、パートナーシップによって研究開発や生産を共同で行っている。また、パナソニックを含めた3社(サンディスク、東芝、パナソニック)は、SDメモリーカードを共同開発し、業界団体の「SD Association」を設立した企業でもある(写真は発表会のプレゼンテーション動画から)

―― 発表会では、サンディスクはプロフェッショナルからの認知・信用が高いと述べられていました。同様に、プロシューマーにも認知度は高いと思いますが、一般コンシューマー層の認知度という点はいかがでしょう。

パーク氏「プロフェッショナルやプロシューマーにとっては、仕事上で利用するので『信頼性』が非常に重要です。我々のメモリーカードは信頼性に大きな自信を持っています。

コンシューマーの場合、基本的には仕事用では利用していませんので、信頼性を通じた関わりが薄くなりますが、それでも世界的に見ればナンバーワンだと思います」

こちらも発表会のプレゼンテーション動画から。スターゲートスタジオのサム・ニコルソン監督がビデオメッセージ。サンディスクのメモリーカードについて「信頼性が最も重要」、「30分も水没していてもデータが無事だった」と語った

―― サンディスクの「エクストリームチーム」が世界中で活動していますが、その役割はどのようなものでしょう。

「SanDisk Extreme Team」のWebサイト。日本のメンバーを紹介した国内サイトもある

パーク氏「エクストリームチームは地域ごとにメンバーがいます。最近は従来のカメラマン以外に、動画チームというのも追加で選定されています。

メンバーは極めてハイエンドなユーザーといえる、プロの写真家や映像制作に携わる方々です。自らの仕事に情熱的に打ち込んでいるのはもちろん、メモリーカードの重要性ということを認識されています。

チームメンバーには製品化前の試作モデルを試用していただくことがありますが、そこからのフィードバックが参考になります。今後の開発に向けて、盛り込むべき要件のアドバイスをいただきます」

―― エクストリームチームメンバーからの、ユニークなフィードバックの例があれば聞かせてください。

パーク氏「例えば、我々は『高速書き込み性能』が重要だと思っていました。しかし、撮影後のデータをPCに転送することを含めたワークフロー全体で考えると、メモリーカードの読み出し速度も重要だということが貴重なフィードバックとして得られました(*)

(*):発表会のトークセッションでも、プロカメラマンの水谷たかひと氏(写真左)と熱田護氏(写真右)が「新製品(サンディスク エクストリーム プロ)を試用したら、読み込みが速くなっていて驚いた。例えばPCへのコピーが5分違うだけでも、かなり大きい」と語っていた

―― そのほか、エクストリームチームメンバーがリクエストしてくるメモリーカードの要件には、どのようなものがあるのでしょうか。

パーク氏「大容量と高性能、ともに要求されます。動画はもちろんですが、静止画でも大容量が必要なケースとして、『4Kビデオを撮影しておき必要なフレームを静止画として取り出す』という、動画と静止画の中間的な利用ケースのお話を聞いたことがあります。最終のアウトプットが静止画だとしても、そのために4K動画をたくさん撮影するわけです。やはり、高速で大容量のメモリーカードが必要になりますよね」

―― メモリーカードのクラッシュというのはそれなりに聞く話ですが、「そろそろ信頼性に問題ありますよ」と表示するようなソフトウェアがあったらいいと思います。先日、スマートフォンのメモリーカード(microSD)が壊れたこともあって、スマートフォンのアプリで「そろそろ寿命です」と表示してくれたりすると便利です。

パーク氏「その壊れたメモリーカードは、まさかサンディスク製品ですか!?」

―― いいえ、違います(笑)。

パーク氏「良かった(笑)。先ほどの『寿命を知らせる』というのは、とても面白いアイデアですね。コンシューマーの皆さまがmicroSDなどのメモリーカードをお選びになるときは、『信頼性』という観点からも、サンディスク製品を候補に加えていただけたら嬉しいです」

―― ありがとうございました。