定番バックアップソフトがWindows 8.1対応でブラッシュアップ
アクロニス・ジャパンは11月12日に記者発表会を開き、同社のWindows PC向けバックアップソフト「Acronis True Image 2014」(以下、ATI2014)を発表した。ダウンロード版は11月12日から、パッケージ版は11月15日から販売される。
発表会には、米Acronis本社からコンシューマー/SOHO、OEM、オンラインを担当するシニア・バイス・プレジデント兼グローバルコンシューマー・ビジネス ジェネラル・マネジャーのナット・メイプル氏が来日し、アクロニス・ジャパン株式会社 リージョナル・プロダクト・マネージャの古館 與章氏とともに説明を行った。
「Acronis True Image」シリーズはPC用バックアップソフトで、起動領域やシステムを含めた完全バックアップ、増分・差分のバックアップが可能。バックアップ対象もHDDだけでなく、NAS、USB接続の外付け型HDD、FTPサーバー、CD/DVD/BDといった光学メディアへの保存も可能だ。最新版となるATI2014は、すでに提供を開始している同社のクラウドストレージ「Acronis Cloud」の対応強化が主な特徴となる。
前バージョンでは250GBのAcronis Cloudを30日間提供しており、お試し版としての要素が強かったが、ATI2014では5GBのAcronis Cloudが1年間提供されるようになった。追加のストレージも50GBか250GBを購入できる(50GBが月額280円/年額2,800円、250GBが月額480円/年額4,800円、いずれも税別)。
また、Acronis Cloudへのバックアップはファイル/フォルダ単位に限られていたが、パーティション単位やドライブ単位のフルバックアップが可能に。フルバックアップだとAcronis Cloudが5GBでは足りないが、この場合は30日間の50GBお試し利用が可能だ。発表会の説明では、フルバックアップをする際に自動で50GB(30日間)になるとのこと。30日が経過すると、保存データがいったん消され、容量は5GBに戻るそうだ(5GBのほうはトータルで11年利用可能)。
Acronis Cloudからのリストアも、ブータブルメディアからPCを起動することで、システム領域を含めた完全な復元が可能だ(ベアメタル復元)。さらに、必要な増分データのみの復元もできるため、転送データ量を大幅に減らせるようになった。
今回、サポート期限の1年間、フルに使える5GBのAcronis Cloudが利用できるようになり、フルバックアップ・リストアにも対応した。また、ユーザーインタフェースが一新されたり、Windows 8.1認証済みになっていたりする |
ATI2014はWindows 8.1の認証済アプリケーションとなっており、インストールとスタート画面をWindows 8ユーザー向けにリデザインしている。例えば、1つの管理画面でローカルドライブとクラウドドライブを一括管理できるほか、追加ライセンスやクラウドドライブの購入もアプリケーションから行えるようになった(Webブラウザを別途起動しなくてよい)。また、従来はPlusパックとして提供されていた製品を今回のPremium版とすることで、1つのシリアル番号でインストールできるようにもなっている(従来は通常版とPlusパックで2つのシリアル番号が必要だった)。
これまで、日本では「標準版にPlusパックを同梱」という形で提供されていたが、これをPremium版として一新。インストールが簡潔になった |
一方で、前バージョンから完全に新しく追加されたような新機能はなく、おおむねWindows 8.1向けのブラッシュアップといえる |
製品構成は、オンライン版とパッケージ版で若干異なる。オンライン版では、インストール可能なPCの台数として1台用と3台用、およびアップグレード版、通常版を提供。通常版では、ダイナミックドライブ対応、他マシンへのリストア/マイグレーション機能などが省略されている。パッケージ版は「Premium版」(従来のPlusパック相当)のみとなる一方、割安なアカデミック版を提供する。
なお、アップグレード版は2製品前までが対象。具体的には「True Image Home 2012 Plus」「True Image 2013 Pro by Acronis」で、ATI2014のインストーラー上で新旧のプロダクトキー入力が必要だ。
単なる同期ではなく「先週の動作環境」も
発表会では、True Imageが市場でナンバーワンの状況であることを、3つのポイントで説明された。
1つ目は、たとえHDDがクラッシュしても、PCに入っていたすべての環境とデータを元に戻せるフルバックアップに対応していること。
2つ目はバックアップ方法の豊富さ。パーティション単位やドライブ単位のフルイメージだけでなく、増分・差分バックアップに対応している。増分/差分なら短期間にバックアップでき、さらにバックアップしていることを意識しない自動バックアップが可能である点を挙げた。
最後の3つ目は「タイムエクスプローラー」。これは履歴をさかのぼる復元機能と考えると分かりやすい。例えば、PCの動作がおかしくなったとき、「問題がなかった週末の動作環境」に戻せるわけだ。
最後に質疑応答があり、通常のオンライストレージとATI2014およびAcronis Cloudの違いに関して「Windows 8.1におけるSkydriveとの統合など、オンラインストレージが他社からも提供されているが、これは単なる同期で、ファイルをうっかり消してしまった場合や改変に対してはあまり効果がない。ATI2014の場合は差分、増分バックアップによって古いデータを呼び戻すこともできるので、単なるオンラインストレージは強力なライバルにはならない」と説明。Acronis Cloudの価格も競合よりは安価であるという。ちなみに、他社のオンラインストレージにATI2014からのバックアップデータを格納することについては、セキュリティ上の問題もあって現在は対応していないという。
2014年に控えるWindows XPサポート終了後の対応も、「特に対応OSから外す理由が今のところない」として、次バージョンのAcronis True Imageでも対象OSを広くサポートしたいとの考えを述べた。
また、現在のAcronis True ImageはWindowsプラットフォームが主体であり、モバイルデバイスからはAcronis Cloudの閲覧に限られている。将来的には、モバイルデバイスのバックアップなども含めて、マルチOS対応にしていきたいと語った。