他方でMicrosoftはさらなる改善を行ってきた。それが、WindowsストアアプリとWindows Phoneストアアプリの開発者登録の共通化だ。同社公式ブログの「Windows App Builder Blog」では、Windows Apps and StoreチームのジェネラルマネージャーであるTodd Brix(トッド・ブリックス)氏が「追加費用は発生せず、同じMicrosoftアカウントでWindowsストアアプリ/Windows Phoneストアアプリの提出が可能になる」と述べている

以前は各アプリの開発者アカウントとして別々に登録する必要があったものの、この改善により両方のストアが利用可能になると同時に、登録費用も個人が19ドル(以前は49ドル)、法人は99ドルに変更された。さらにWindowsストア/Windows Phoneストアに登録済みの開発者には、今後1年間無料の更新コードを送付する予定だという(図07)。

図07 Dev CenterのWindows Phone向けページ。既に個人向け開発者アカウントの登録料が19ドルに変更されている

筆者はWindows Phoneを所有していないため、市場状況は判断できないものの、Microsoftが定期的に掲載するお勧めアプリを見る限り、充実しているようにうかがえる。その一方でWindowsストアアプリは残念ながら充実しているとは言い難い。Microsoftもアプリ公開で2,000ドル相当をプレゼントするキャンペーンなどを行ってきたが、その数は12.5万タイトル(MetroStore Scanner調べ)にとどまり、増加スピードは低下しつつある。

Windowsストアアプリの市場は、iOSやAndroidと比べて魅力的ではないというのが最大の理由だ。Windows 8はOSとしてユニークであり、デスクトップ環境としても使えるものだったが、過去のWindows OSと比較すると市場的な成功には至っていない。Windows 8.1がリリースされても、2013年前期の時点でリリース予定とされていたいくつかのゲームタイトルは、いまだWindowsストアに並んでいないのである。

先発組の成功を参考に開発ライセンスを有料化し、アプリ市場からの収益を期待するのは残念ながら愚策と言わざるを得ない。確かに19ドルは安価だが、それなら既に成功が確実なiOS Developer Programを選択するだろう(ちなみに同Programの参加費は99ドル/年)。

MicrosoftのOSおよびアプリ市場が成功する方法として、ブランドイメージの向上は大切ながらも、より多くのWindowsストアアプリを開発できる地盤と参加しやすさが必要なのではないだろうか。タブレット市場のシェアを踏まえた今後を見据え、Windows OSがマイノリティーにならないためには、さらなる施策が必要だろう。

阿久津良和(Cactus